2023 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性地殻変動シミュレーションモデルによる巨大噴火準備過程の解明
Project/Area Number |
22K03784
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 雅 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30760235)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粘弾性応力緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、測地学的・地震学的研究成果から制約された力学的構造を持つ3次元線形マックスウェル粘弾性地殻変動モデルを用いて、1914年の桜島火山噴火以降の姶良カルデラ下における地殻の応力状態の変遷、つまり1914年噴火による応力状態の変化が、それに対する粘弾性応答及びその後のマグマ供給(及び排出)と1946年噴火に対する粘弾性応答により、どのように回復するのかを予測し、その予測量をこれまでの噴火活動度と比較して、噴火発生時の応力状態について考察した。1914年噴火に対する粘弾性応答による応力回復は、測地学的・地震学的研究成果から要請される局所的な低粘性領域(LVZ: Low Viscosity Zone)の影響で、1934年頃までは速やかに、しかしそれ以降は非常に緩やかに、進行することがわかった;変動を律速する粘性率がLVZの内側(低粘性側)から外側(高粘性側)へと変遷する。1934年頃以降は、主にマグマ供給により、応力状態の回復がなされるが、1946年噴火直前においては、1914年噴火直前の状態にまで応力状態は回復していないことがわかった。その後のさらなるマグマ供給により、1960年頃には、1914年噴火直前の状態へと回復するが、ちょうどこの頃から、それまでは散発的だった桜島火山の噴火活動が継続的に起こってくることがわかった。しかし、マグマ供給による応力蓄積が進むほど噴火活動もより活発になってくるというわけではない。現在の姶良カルデラ下の地殻の応力状態は、1914年噴火直前のそれを大きく上回って回復しており、噴火を起こすに相応しい状態と言えるかもしれないが、実際に噴火するかしないかは、他の効果、例えば、変動源への短時間マグマ供給率等に支配されているのかもしれない。
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