2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03804
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
黒田 充紀 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70221950)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 塑性理論 / ひずみ勾配理論 / 金属材料 / ミクロンスケール / 微視的境界条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
ひずみ勾配塑性論は,金属材料の力学応答の寸法効果を表現できる理論体系として過去20年来世界中で活発に研究されてきた.ところが,最近(2018年頃から),同理論は必ずしも実験結果を正しく説明できず定量性に欠けるという批判を受けている.この疑義を根本から検討し解決することが本研究の目的である.過去の研究では,塑性ひずみ勾配ではなく,塑性ひずみ速度勾配を考慮すると,変形初期の降伏応力の寸法依存性を的確に表現できるとの説が有力であった.代表者は塑性ひずみ速度勾配による寸法効果は金属材料の物理に整合しないとしてこれを否定してきた. 今年度の研究では,寸法減少に伴う塑性変形初期段階における降伏応力の急激な上昇を表現可能な非2次形式の欠陥エネルギーと界面における塑性ひずみ勾配(微視的には幾何学的必要転位密度に相当)の限界値を導入した新たな理論を構築した.この理論により,薄膜金属層の単純せん断変形における降伏応力の寸法依存性(実験結果)が精度良く説明できることを示した(学術論文として公表). さらに,界面における塑性ひずみ勾配(微視的には幾何学的必要転位密度)が限界値に達した(微視的破壊の発生)後は,界面に転位が多量に流出しこれが起点となって界面剥離(巨視的破壊)を誘発すると考えられる.この一連の破壊進行モデルについてもその数理的定式化に着手した. 上記理論の定式化のコンピュータシミューション用コード(有限要素法)への実装も開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗をまとめると以下の通りである. (1)非2次形式の欠陥エネルギーと界面における塑性ひずみ勾配(幾何学的必要転位密度に相当)の限界値を導入した新たな理論を構築し,この理論によって薄膜金属層の単純せん断変形における降伏応力の寸法依存性(実験結果)が精度良く説明できることを示した.この成果を学術論文として公表している. (2)界面の微視的破壊から界巨視的破壊までの統一的モデル構築に着手した. (3)上記理論の定式化のコンピュータシミューション用コード(有限要素法)への実装を開始. これらのことを総合的に考慮し,概ね順調に進展していると自己点検・自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,界面の微視的から巨視的破壊までを取り込んだ拡張ひずみ勾配理論を完成させ,それを自主開発有限要素コードに実装しする.数値計算では,理論解(数学的解析解)が得られないような多自由度問題に提案理論を適用し,その有効性について検討する予定である.さらに,提案理論をベースとして物理立脚のミクロンスケール塑性モデルへの展開を考える.
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Causes of Carryover |
隣県開催の学会に参加したため旅費が少額となった.
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