2022 Fiscal Year Research-status Report
生物表面に存在する微細構造の変形と接着/摩擦機能を同時に評価できるシステムの開発
Project/Area Number |
22K03805
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上杉 薫 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20737027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生物微細構造 / 摩擦 / 接着 / 力計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2軸微小力センサを用いて,生物微細表面の摩擦力測定用システムを構築し,試験条件を絞り込み,実際に生物表面の微小構造を模倣したナノメートルスケール溝基板を用いた摩擦力評価を行った.システム構築に際しては専用のプローブも開発した.プローブ開発に際しては,プローブ材料の選定や接触角測定を行い,材質的にニュートラルで親水性が比較的高いものとして,セラミック製のものとした. 大気中にて複数の寸法のナノメートルスケール溝基板の摩擦力評価を行った所,あるサイズの凹凸表面にてのみ摩擦力の低下が確認された.これは,凹凸表面に存在する極微小の水分が,cassie-baxter状態,もしくはWenzelの状態に移行し,表面とプローブ間の接着状態が不連続的に変化するためであると考えられる.実際,使用した表面の接触角試験によると,摩擦力が小さかった表面に関しては,接触角が大きいことが分かり,微小表面上での水分がcassie-baxter状態にある可能性が示唆されている.cassie-baxter状態とはすなわち,接触角が大きく撥水的な状況であり,微細溝内に水分が入り込まず,プローブ‐微小表面間に発生する水のメニスカスの影響が抑えられたことにより,摩擦力が低下したと考えられる. また,生物微小表面の撥水機能に関する3次元モデルを構築し,学会発表を行った.更に,生物微小表面に関係した,生物の発生力に関する論文執筆を進め,論文投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2軸微小力センサを用いて,生物微細表面の摩擦力測定用システムを構築し,実際に摩擦力評価を行った.また,生物微小表面の撥水機能に関する3次元モデルを構築し,学会発表を行った.更に,生物微小表面に関係した,生物の発生力に関する論文執筆を進め,論文投稿を済ませており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した摩擦力試験システムはプローブの固定が甘くぐらついているため,最大静止摩擦力の評価しか行われていない.今後はプローブを改良することで,ぐらつきを改善する.もし,プローブの改善で済まない場合は,センサ本体のプローブ取り付け部分の改良を行う.センサの改造完了後,再び生物微小構造表面の摩擦力や接着力特性評価を行う.更に,顕微鏡観察システムへの組み込みを試みたい.
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Causes of Carryover |
代表研究者が9月から育休に入ったため,次年度使用額が生じた.また,育休中は遠隔で研究は進み,システムの作製,及び学会参加などは行い結果は出しているので問題無い.研究代表者の使用額が0となっているのは,代表者の育休中に装置の故障などによる費用の工面が必要になった際に対応できるように敢えて残し,9月以降は共同研究者に研究費を移した結果である. 持ち越した費用に関しては,顕微鏡システムの増強や,摩擦力測定システムの改造,微小構造体作製関連などの費用に充てる予定である
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Research Products
(1 results)