2022 Fiscal Year Research-status Report
代替肉の開発に向けた農産物組織の力学特性計測と力学モデルの構築
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22K03829
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 一志 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (30507116)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ピペット吸引法 / 食肉 / 代替肉 / 力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ピペット吸引法を用いて食肉の力学特性を評価するため、R4年度はピペット吸引装置を構築した。構築したピペット吸引装置は、マイクロピペットおよびマイクロマニュピュレータから構成される計測部、電動ポンプ、リザーバーから構成される吸引部、顕微鏡ならびに計測ステージ、カメラから構成される観察部から成り立っている。装置の特徴として、電動ポンプの変更によって試料の変形挙動に合わせた吸引圧力の範囲を選択できること、温調機能を付加したこと、乾式および湿式のピペット吸引法の適用が可能であることが挙げられる。 構築したピペット吸引装置および計測手法の妥当性を確認するため、ピペット吸引装置を用いてポリジメチルシロキサン(PDMS)の力学特性を計測した。PDMSは主剤と硬化剤の混合比により硬化後の力学特性が異なることが知られている。そのため、異なる混合比のPDMSシートを作製した。計測したPDMSシートにおける実験値と文献値を比較した結果、ほぼ相違がなく、構築したピペット吸引装置および計測手法の妥当性が示された。 ピペット吸引法を用いて加工肉ならびに食肉、代替肉の力学特性を評価した結果、試料の各組織における力学特性の計測が可能であった。また、各試料の変形挙動に対して、十分に適用できる力学モデルを選定でき、食肉および代替肉の弾性と粘性を指標とした力学特性の評価が可能となった。以上から、今後ピペット吸引法を用いて食肉の力学特性を定量的に評価できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピペット吸引装置の構築と評価が完了だけでなく、食肉の変形に適用できる力学モデルも選定できたため進捗状況を順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
食肉の種類を増やすとともに代替肉の作製に用いる食品ゲルの力学特性を評価する。食肉の計測においては加熱前後の力学特性に着目する。食品ゲルに関してはゲル濃度毎の力学特性を計測する。
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Causes of Carryover |
各試料の評価に時間を要したため、物品の購入時期が遅れて次年度使用額が生じた。次年度使用額はガラスピペットならびに試料、緩衝液の購入に充てる。
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