2022 Fiscal Year Research-status Report
Classification of damage type by dispersion compensated waveform of Acoustic emission emitted from plate-type CFRP
Project/Area Number |
22K03830
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長 秀雄 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60296382)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CFRP / 非破壊評価 / アコースティック・エミッション法 / ラム波 / 分散補償 / 波形分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はCFRP板内を伝搬するAE波(ラム波)の分散補償することを目的にまずは異方性のないアルミニウム板を伝搬するラム波の分散補償する方法を実験および数値計算によって求めた波動を用いた.また,引張負荷下のCFRP板内の損傷によって発生するAE波形の特徴を評価し,自己組織化マップ法を用いてAE波形の分類を行い,その問題点を検討した. 1)圧電センサで検出したラム波の分散補償 有限の受感部を有する圧電センサでは,センサ出力信号は圧電素子の周波数応答に加えて受感部径の影響を受ける.そこで本研究ではセンサの周波数応答を分散性のない表面波を同一伝搬距離において面外変位成分を正確に計測できるレーザ干渉計と圧電センサで検出ことで圧電センサの周波数特性を評価した.加えて,受感部径内の感度分布を受感部直径上に集光したパルスYAGレーザを照射することで評価した.圧電センサの周波数応答を考慮したのちP.D. Wilcoの提案手法を用いて分散補償を行った.その結果,予想される音源形状(音源:パルスYAGレーザ)にならなかった.そこで,分散補償後の波形に圧電センサの感度分布を逆合成積したところ音源形状に近いパルス状波形が推定された.ただ,他の波形も出現していることから原因を検討する. 2)引張負荷下のCFRPの損傷の評価 破壊源から伝搬距離がほぼ同じ圧電センサで検出されたAE波形の特徴から破壊源の種類を自己組織化マップ法で推定できた.しかし,同じ音源に推測された波形でも特徴が大きく異なる波形もあった.その原因を検討したところ音源の板厚方向の位置の違いよる影響であることが分かった.ラム波では音源が板厚の中央に近づくほど対称モードが,表面に近づくほど非対称モードが主体的な振動モードとなるためと予想される.そこで,今後は厚さ方向の音源の位置がラム波に与える影響を詳細に検討し,波形分類の特徴として取り組む.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はラム波の分散補償について等方体であるアルミニウム板を用いてAE計測で使用する圧電センサの特性を踏まえた信号処理方法に目途がついてきた.一部,残された課題はあるが当初の予定通りに進んでいる.今後は異方性があるCFRPで同様な手順で解析を行い異方性が分散補償に与える影響を考慮する. 引張応力下でのCFRPの損傷に伴って放出されるAE信号の特徴については,音源の深さ方向の位置が重要な要因になることが理解できた.これは今後の波形の特徴を抽出する際にとても重要な事項であり,今後の研究に進展が期待できる成果であった.そのため今年度の進捗としては概ね順調である.また,深さ方向の音源の位置は対称モードと非対称モードの振幅比から推定が可能であることが既往の研究からも推測できるので,今後は対称モードと非対称モード分離を含めて検討していくことになる.
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Strategy for Future Research Activity |
分散補償は異方性を有するCFRP板を対象に検討を行う.異方性は現有のレーザ超音波計測システムを用いてラム波の分散曲線を2次元フーリエ変換を用いて評価し,伝搬方向ごとに分散補償を行う.また,分散補償は単一のモードのみが対象となることから優勢となる伝搬モードを抽出する方法を検討する.また,使用するCFRP試験片の幅は伝搬方向の長さに比べて短い.その場合,分散特性は幅方向の影響も受けるためその影響を開始していく予定である.さらにCFRP板はアルミニウム板に比べて減衰が大きく,伝搬距離が振幅に与える影響が大きい.つまり,同じ音源であっても異なる伝搬距離で計測された波形の分散補償後の振幅が異なることが予想される.そのため減衰も考慮に入れる必要があるが,その方法も検討する.同一音源によって励起されたラム波を異なる伝搬距離で計測し,分散補償後の波形の振幅から減衰係数を推定し,AE計測結果に適用することを検討する. CFRPの損傷の伴うAE波形からの特徴量の抽出は厚さ方向の音源位置を推定するためのラム波のモード分離法を検討する.現状ではSynchrosqueezing処理を活用したWavelet変換によってモード分離を行うことを検討している.最初にSynchrosqueezing処理におけるパラメータなどを検討し,適切な処理を可能にしたい.その後,モード分離後の各モードの振幅エネルギ比から音源の深さ方向位置を推定するアルゴリズムを検討する.モード分離することでAE波形は2つの波形に分離されることから各モードの特徴量を抽出し,情報量を増やして波形分類を行う.現状,波形分類は自己組織化マップ法を用いている.AE波形での分類はその境界が線形領域では不明瞭になる場合があるので非線形の分類が可能となるカーネル法を併用した自己組織化マップ法や主成分分析の適用を検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナの影響もあり学会等での研究発表の機会が限定されていた.そのため旅費の使用がなかった.2023年度は成果の報告や情報の収集のための学科への参加数を徐々に増やしていく予定である.また,研究の進捗に合わせて当初予定していたよりも多くの種類の試験片(非対称な積層パターンなど)なるためその部分に充てていく予定にしている.
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