2022 Fiscal Year Research-status Report
強ひずみ加工法により作製した超微細結晶組織材料の逐次加工性向上
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22K03832
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 達也 同志社大学, 理工学部, 教授 (70434678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 強ひずみ加工 / 銅合金 / 延性 / 強度 / 局部延性 |
Outline of Annual Research Achievements |
強ひずみ加工(SPD)法によりバルク形状の超微細結晶(UFG)材の作製が可能になり,高強度が要求される構造材料への適用が期待できる.一般的には結晶粒微細化により強度が上昇するが、伸びが低下する問題がある。伸びの低下は主に加工硬化能の低下による均一伸びが低下するためで、SPD法により微細化された材料はくびれ発生までの局部伸びは逆に増加する。そのメカニズムは今後の研究が待たれるが、結晶粒微細化により、変形機構が転位すべりから粒界すべりに変化したことが関係すると考えられる。そこで、本研究ではその効果を高める銅合金の成分系を明らかにすることを目的とする。 合金元素としてMnに着目した。積層欠陥エネルギーを変化させずに固溶体効果により結晶粒微細化が期待できる。すなわち転位の拡張が生じないため、粒界すべりへの抑制がないことが予想される。本年度はECAP加工における結晶組織の変化に及ぼすMn添加の影響を調査した。 その結果、Mnの量が増加するにつれて、硬度と引張強度が増加した。特にMn含有量の高い試料では、ECAPの限界である8パス後も加工硬化が継続した。また、引張試験の結果より、Mn含有量の高い試験片では高ひずみ域でも高い加工硬化能が残留していることが分かった。さらに、Mnの添加量の増加とともに、最終の結晶粒径が減少した。Fleischer、Labschのモデルを用いて固溶原子とらせん転位。刃状転位それぞれの相互関係を比較したところ、らせん転位と固溶原子の相互関係の方が刃状転位より影響が大きいことが分かった。以上の結果より、Mn添加により積層欠陥エネルギーを低下させずに、ECAP加工後の結晶粒径が微細化できることが明らかになった。らせん転位の運動に対する抵抗が増加し、転位密度が上昇したことが原因と考えられる。次年度は局部延性に及ぼす影響について調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はMn添加による結晶組織への影響を調査し、進捗状況は概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
銅にMnを添加することにより、ECAP加工後の結晶粒径はさらに微細化することが確認できた。さらに積層欠陥エネルギーを低下させずとも、高ひずみ側で加工硬化能が高まることが確認できた。次年度は局部延性への効果を調査する。
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