2023 Fiscal Year Research-status Report
金属積層造形の各種造形割れ評価法と割れ制御造形条件の確立
Project/Area Number |
22K03853
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
千葉 浩行 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ, 主任研究員 (30757373)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属積層造形 / Additive Manufacturing / 割れ / crack / 凝固割れ / 熱間割れ |
Outline of Annual Research Achievements |
金属積層造形において、しばし造形割れが発生している報告がなされている。割れは、内部欠陥の中でも機械的性質を著しく低下させる欠陥の一つであり、発生抑制対策が重要である。しかし、造形割れは様々あるが、その分類や現象把握および支配因子について、系統的研究は行われておらず、従来の製造プロセスでの割れ発生に対する知見から割れ発生現象を予測しているにとどまっている。そのため、金属積層造形における各種割れの支配因子は把握できておらず、造形割れに有効な対策が行われていない。そこで本研究では、造形時の熱応力、ひずみを測定し、かつ能動的に造形中の応力状態を変更可能な造形割れ評価装置を開発し、各種造形割れの発生メカニズムの解明と金属積層造形特有の割れの支配因子の有無を明らかにすると共に、造形割れ耐性の高い造形方法を確立することを目指す。2年目では、1年目に開発した装置を用いて、造形条件および応力状態を変量し、造形により発生する応力、ひずみの確認を実施した。変量した造形条件、応力状態範囲内では、造形により発生する応力、ひずみに変化が見られなかった。また、造形条件および応力状態を変量した造形割れテストも実施した。このテストにおいては、造形条件により、造形割れ発生量が変化した。割れ試験における造形割れの種類としては、凝固割れが多く観察された。この造形割れテストにおいては、割れ発生温度に対しての破断応力、破断ひずみの取得を試みた。レーザー条件によって、造形割れが発生する初期荷重範囲が狭いものがあり、その条件では、グラフ化が困難であったが、造形割れが発生する初期荷重範囲が比較的幅を持つものについては、割れ発生温度に対しての破断応力、破断ひずみを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究2年目では、1年目に開発した装置を用いて、造形条件および応力状態を変量し、造形により発生する応力、ひずみの確認を実施した。変量した造形条件、応力状態範囲内では、造形により発生する応力、ひずみに変化が見られなかった。この点については、条件変量範囲をさらに広げると共に、計測で使用している高速度カメラのレンズや撮影条件を調整し、計測精度をさらに上げるための改善を実施予定である。また、造形条件および応力状態を変量した造形割れテストも実施した。このテストにおいては、造形条件により、造形割れ発生量が変化した。造形割れ試験における割れの種類としては、凝固割れが多く観察された。この造形割れテストにおいては、割れ発生温度に対しての破断応力、破断ひずみの取得を試みた。レーザー条件によっては、造形割れが発生する初期荷重範囲が狭いものがあり、その条件では、グラフ化が困難であったが、造形割れが発生する初期荷重範囲が比較的幅を持つものについては、割れ発生温度に対しての破断応力、破断ひずみを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目では、造形時に発生する応力やひずみを確認するための計測精度向上などの残課題を解決しつつ、N増しなどが必要なデータについては、追加で実験を実施する。その後、得られたデータを基に造形割れの支配因子になり得る要因を考察していく。考察にあたっては、これまでの実験で使用した試験片の破面や組織を観察し、破壊形態や残存液相の状態、結晶粒径などを確認する。また、それらの考察から、耐造形割れ造形条件の最適化にも着手する。
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Causes of Carryover |
開発装置での実験の効率化を行うことで、造形粉末およびリコーターブレードなどの造形に関わる消耗品の消耗を当初計画より少なくすることができたため、次年度使用額が生じた。3年目に2年目の実験の一部のN増しを計画していることから、その実験で使用する造形粉末やリコーターブレードなどの造形に関わる物品に使用予定である。
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