2022 Fiscal Year Research-status Report
金属組織制御と多軸CNC制御の統合によるタービンエンジンの複雑形状部品の表面改質
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22K03857
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
朱 疆 東京工業大学, 工学院, 助教 (70509330)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組織制御 / CNC多軸制御 / 表面改質 / バニシング加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
過酷な環境で稼働するタービンエンジン部品の高性能化及び長寿命化を実現するために,複雑形状を有する薄肉板部品の高能率,高品質な表面改質法が求められている.そこで,本研究では,タービンエンジンの複雑形状部品の機械的性質を向上するために,バニシング加工により実現した金属材料の組織制御,と複雑形状に対応する多軸CNC制御を統合することにより,高品質な表面改質層を高能率に創生する手法の確立を目的としている. タービンブレードのような薄肉板状部品をバニシング加工するときに,工作物の変形量を最小限に抑える必要がある.2022年度には,バニシングボールが部品の両面から押し付けることが可能なバニシング工具を開発した.開閉機構にある二つの爪が中心対称に直線運動することにより,ブレード中心線と工具中心とを常に一致させることが可能となる.加工点の法線方向には,表面の押し付け力と裏面の押し付け力が互いにキャンセルすることができるので,工作物に作用する曲げ応力を最小にすることが可能となる. 開発した工具を3軸モデリングマシンに取り付け,ステンレスの試験片に対して,加工中の変形抑制効果を確認した.両側から荷重を与えることにより,板厚1mmの薄板を加工中の変形を抑制しながらバニシング加工することが可能になった.また,加工した試験片の粗さ計測,硬さ計測を行い,従来のバニシング加工より同様な表面改質効果を得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,まずバニシングボールが部品の両面から押し付けることが可能なバニシング工具を開発した.また,開発した工具を3軸モデリングマシンに取り付けて,ステンレスの試験片に対して加工実験を行い,構築した加工システムの有効性が確認した. 加工中の変形抑制効果を確認するため,電気マイクロメータを用いて表面の変位を測定し,板厚1㎜の薄板を加工した際に,元の平面から大きく変形しないことが確認した.また,SUS304の薄板材料に加工条件を変更し,開発した工具を用いた加工による硬度,表面粗さの影響を確認した.硬度は加工前の413HVから加工後の514HVまで向上し,表面粗さRaは加工前の0.3umから加工後の0.1umまで改善したことを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,バニシング加工の加工条件が被加工材の表面性質および組織状態に及ぼす影響を解明する予定である.開発した両面加工可能なバニシング工具を用いて,ステンレス及びチタン合金の試験片に対して,細かく加工条件(工具の送り速度,バニシング力,潤滑油など)を変更し,加工による得られた表面改質層に対して,粗さ計測,硬さ計測,残留応力分析を行い,加工条件が表面特性に与える影響を解明する.また加工した試験片の表面観察,断面観察,EBSD分析することによりバニシング加工による素材表面の結晶変形,結晶すべりや転位密度,ひずみ分布などを明らかにする予定である. また,バニシング加工の加工特性に適した三次元自由曲面バニシング加工CAMシステムを開発し,バニシング加工と多軸CNC制御を統合した表面改質加工システムを構築する予定である.
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Causes of Carryover |
円安のため,初年度で購入する予定の高圧ポンプは科研費だけで購入することができないため,ほかの外部予算と合算して購入した.ですので,次年度使用額が生じた.次年度に計画的に利用する予定である.
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Research Products
(4 results)