2022 Fiscal Year Research-status Report
パラレルメカニズムを用いた高速走査NC電解加工による3次元複雑形状加工
Project/Area Number |
22K03860
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小谷野 智広 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (20707591)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電解加工 / パラレルメカニズム / 高速走査 / NC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, NC電解加工(NC: Numerically controlled,数値制御)において,パラレルメカニズムを用いて工具電極を高速で走査させることで,3次元複雑形状を高速・高精度,かつフレキシブルに加工可能な電解加工を実現することを目的としている. 3次元的な高速走査を可能とするために,3自由度のパラレルメカニズム電解加工機を開発した.本装置では,高速駆動が可能なリニアモータを用いたアクチュエータを水平に等間隔で3軸配置した.本装置を用いることで,通常のNC電解加工で用いられている走査速度の数百倍以上の走査速度である,500mm/sでの工具電極の3次元走査が可能となった.本装置を用いて溝加工を行った結果,走査速度を速くするほど,加工面の表面粗さが良好となった.これは,走査速度を速くすることで,工具電極周辺の低電流密度の領域が加工面上に滞在する時間が減少するためである.また,工具電極をXYZ方向に走査させながら1層ずつ除去して形状加工を行った.高速走査するほど1層あたりの除去厚さが減少するので,加工面の凹凸が減少した.さらに,溝加工において,電極を静止させた場合の単位除去形状から,走査加工を行った場合の加工形状のシミュレーションを行った.その結果,シミュレーションにより得られた溝の断面形状と,実験により得られた溝の断面形状はよく一致した.一方で,高速走査による加工の問題点として,往復運動する場合などにおいて運動の方向が切り替わる際に走査速度が減少するため,運動の方向が切り替わる点において滞在時間が増加し,加工深さが深くなってしまうということがある.そこで,加工において用いる印可電圧をパルス化し,走査速度に応じてパルス幅を短くする制御方法を開発した.その結果,運動の方向が切り替わる点においても,走査速度が変わらない理想的な場合とほぼ同じ加工形状が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工具電極の高速走査が可能なパラレルメカニズムを用いた電解加工機を開発した.また,単位除去形状と走査経路から加工形状をシミュレーションすることが可能となった.さらに,高速走査に適した印可電圧制御の方法も開発できた.一方で,超高速で走査した場合には,装置にわずかな振動が発生したため,その対策について検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
工具電極をXYZ方向に走査させながら1層ずつ加工を行うことで,ポケットや球面などの凹凸形状の加工を行い,工具電極の走査速度や工具経路が加工精度や表面粗さに与える影響を調査する.また,設定した工具経路から加工形状を推定できるシミュレーション手法を開発する.また,開発した3自由度パラレルメカニズムにB,C軸の2軸を追加した5自由度パラレルメカニズムNC電解加工機を開発する.5自由度の加工では,傾斜した加工面に対して,工具電極を法線方向に傾斜することができる.従って,傾斜面や球面の加工において,より良好な加工精度となることが期待できる.
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Causes of Carryover |
工具電極材料などの消耗品の支出がわずかに少なかったためであるが,次年度も工具電極材料等の購入が必要なため,それに充てる.
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Research Products
(1 results)