2023 Fiscal Year Research-status Report
溶融金属の移動現象を考慮した抵抗スポット溶接手法の構築
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22K03868
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊與田 宗慶 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (90736464)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スポット溶接 / 放射光 / 溶融金属 / 対流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2023年度)は,溶接チリが生じる際の溶融金属の移動現象の特徴を把握するとともに,溶接部の形状制御方法に関する基礎的な知見を取得した. まず,溶接チリが生じる際の溶融金属の移動現象の特徴把握に対しては,溶融金属の移動現象における物質輸送現象および熱輸送現象が溶接チリ発生に及ぼす影響を把握することを目的として,溶融金属の移動現象を意図的に変化させ,その際の溶接チリ発生の有無について整理した.ここで,溶融金属の移動現象は,スポット溶接の電極周りに設置したネオジム磁石により発生する電磁力を利用して変化させた.その結果,電磁石の設置方法を変化させることで溶融金属の移動方向および速度が変化する様子が確認された.また溶接チリに対しては,溶融金属の移動速度が溶接チリの発生に対して影響が大きく,移動速度の増大により溶接チリが抑制された.これは溶融金属の移動速度が大きくなることで,溶融金属内における温度分布が変化し,急峻な発熱が抑制されたことが原因であると推察される. 次に溶接部の形状制御について,ネオジム磁石による電磁力を利用した形状制御の方法について検討を行った.継手強度に対して支配的な因子である溶接部におけるシートセパレーション先端の形状は,溶融金属の形成状態により変化することが知られている.一方,前述の電磁力を利用した溶融金属の移動現象制御においては,ネオジム磁石の設置方法を変化させることで溶融金属の形状を変化させることが可能である.そこで,電磁力を用いた溶融金属の形成制御によるシートセパレーション先端形状制御の可否を明らかにすることを目的に,ネオジム磁石の設置条件とシートセパレーション先端形状の関係について調査を行った.その結果,ネオジム磁石の設置方法が変化することでシートセパレーション先端形状が変化することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,溶接チリが生じる際の溶融金属の移動現象の特徴を把握できた.さらに,接合強度向上に対して有効な溶融金属の移動現象制御に関する基礎的な知見を取得できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,継手強度向上に関する検討として,電磁力を利用した溶融金属の形成制御によるシートセパレーション先端形状の制御方法について引き続き検討を行う.シートセパレーションの先端はスポット溶接継手における応力集中箇所であり,その形成箇所は溶接金属の近傍である.すなわち,シートセパレーション先端の形状変化は,溶接金属に生じる応力集中に対して極めて大きく影響を及ぼすことから,その形状如何で継手強度が大きく変化する.そこで,電磁力を利用した溶融金属の形成制御によるシートセパレーション先端の形状変化が継手強度に及ぼす影響について実験により明らかにする.さらに,数値シミュレーションを用い,シートセパレーション先端の形状変化が,溶接金属の近傍に生じる応力・ひずみ場に及ぼす影響について考察する.
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Causes of Carryover |
SPring-8における実験に変更が生じ,2023年度に実施予定だった実験が2024年度に持ち越しになった.それに伴い,実験にかかる物品費および溶接装置の運搬にかかる輸送費が持ち越された.持ち越された予算は,2024年度に実施される2回のSPring-8における実験で使用する予定である.
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