2022 Fiscal Year Research-status Report
Hybridization of photovoltaic power generation and solar thermal power generation by combinatorial optimization
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22K03875
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 正行 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (60207917)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 太陽光発電 / 太陽熱発電 / 光学多層膜 / ハイブリッド / ヘリオスタット / 最適配置 / 組合せ最適化 / 輻射解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、太陽光発電と太陽熱発電のハイブリッド化を実現する装置を設計することと、最適配置問題とハイブリッド化のための多層フィルムの構造を求める組合せ最適化問題を効率よく解く手法を提案し、有効性を確認することを目的としている。 2022年度は太陽軌道とヘリオスタットの配置、タワーの配置およびレシーバの配置から受光量を見積もる計算式を導出し、最適化の目的関数を定式化した。影を見積もる場合には光線追跡が必要となり影のかかる領域を時間経過と共に正確に求める解析は高コストであるため、影の元となる物体形状を離散化し、追跡本数を減らし影の投影面積を求める近似計算を導入した。影の影響を見積もる手法の有効性を確認するため、太陽電池パネルを任意形状敷地内に最適配置する問題において影による受光量の減少を受光量最大化を行う目的関数に組み込んで最適化を実施した。 これにより本研究の最適化計算を効率的に実施するために重要である次のような知見が得られた。影の影響による受光量の低下を避けるような配置が得られた。さらに、影がかかることによる受光量の低下は全体の受光量に比べ少ないため、太陽電池パネルの台数が増加するように配置されることが分かった。ヘリオスタットの配置問題に影の影響を組み込む際には、単純にヘリオスタットの詰め込み問題とならないようにヘリオスタットの影の影響を同時に組み込む必要があることが示唆された。以上の得られた知見をまとめ、学会講演会にて2件の研究発表を行った。 なお、これまで課題として認識できていなかったタワーへの反射を別のヘリオスタットが遮ってしまう現象であるブロッキングの影響も目的関数に組み込む必要があることが分かった。次年度は、当初の計画に加えて目的関数の改良にも取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘリオスタットに太陽光発電パネル設置し、パネルに超多層フィルムを貼付して発電波長と太陽熱発電用の波長に分離して利用する。パネルのカバーガラスの裏面に超多層フィルムを貼付することが耐久性の点から有利である。一方、入射角の大きな光はカバーガラスの表面にて全反射をおこすため、全反射角より大きな入射角の光は太陽光発電に利用できないことが分かった。このため、超多層フィルムの分光特性の設計仕様を当初計画から変更する。2023年度に分光特性の仕様策定を行い、新しい仕様に対する超多層フィルムの最適化を実施する。 また、最適化計算を行うワークステーションの計算速度が当初の計画よりも大きいことが分かり、さらに、多層膜の部分構造を導出する計算の定式化を見直して高速化をはかったことから、これまで、代表入射角ごとに部分構造を最適化していた計算を、入射角と部分構造を同時に最適化することが可能になった。次年度は、より受光量を増加させることが可能であると予測できる同時最適化により検討を進める。 以上より、計画した内容はほぼ達成できており、研究内容の修正も見込みが立っていることからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は2022年度に得られた知見を活用して、当初の計画通り以下の研究内容を推進する。 配置最適化問題は一般に高い計算コストから効率よく最適解を求めることが困難であるが、2022年度に影の影響を見積もる計算の高速化を図ることができたことと、さらに分枝限定を組み込むことで影の影響を見積もる計算の高速化を図る。また、解の近傍探索機能を組み込むことで収束性の向上を図る。本研究で用いる遺伝的アルゴリズムの最適化パラメータのコーディングでは、最適化パラメータの解像度(精度、刻み幅)をパラメータごとに施工などの必要な精度に応じて調整する。 太陽熱受光量と太陽光受光量の最大化を目的とする2目的最適化問題を解きパレート解を導出して、施設全体の設計指針を得る。多目的最適化手法の一つであるNSGA-Ⅱを適用して、最適設計された超多層フィルムを貼付した太陽光パネルとレシーバーそれぞれにおける受光量を求め年間のエネルギーを計算することで、太陽エネルギーの利用効率を求める。 2024年度に予定しているタワー集光部の輻射解析に基づく最適化計算の実施の準備を行う。集光部の温度分布を求めるため、光線光学モジュールと波長依存の輻射解析が行える輻射解析モジュールを解析ソフトウエアに追加して輻射解析を実施し計算条件の確認を行う。
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