2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03910
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 恭史 関西大学, システム理工学部, 教授 (90330175)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流体工学 / 電気流体力学 / 境界要素法 / 積分公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,界面を含む電気流体力学のための新しい数値解析手法を提案し,これまで経験的にしか扱われてこなかった現象について,モデルを用いない直接数値解析により,物理の解明を目的とする.具体的には,界面を含む混相流体の数値解析手法であるFront-tracking法と,電場解析に境界要素法を組み合わせることで,これまでにない高精度に界面近傍の電気力を表せる,数値解析手法を開発することである. 本研究で行うことの1つ目は,電場を境界要素法で扱うこと(Electric Boundary Element Method)と,混相流をFront-tracking法で扱うこと(Multiphase Front-tracking Method)を合体した,新しいシミュレーター(EBE-MFT simulator)の開発である. 初年度はこのオリジナルの電気流体力学シミュレーターの開発に注力した.境界要素法による解と発散定理による厚みの無い面での情報,それを流体計算に反映させる方法など,数学的・物理的に本質を表現し得る手法を検討し,コードを作成した.特に,境界要素法で必要な特異点を含む積分について,精度の悪い数値積分ではなく,発散定理などを利用して解析的に積分できる公式を導出し,高精度な計算を理論上可能にした. 混相流シミュレーターの改良のために,テイラー気泡のシミュレーションの検証,濡れモデルの検証,マランゴニ対流の検証,シャープな界面の取り扱いについて検証した. 開発したシミュレーターで電場中の液滴の挙動(理論解のあるシンプルな系)を計算し,液滴の形状変化の縦横比,内部循環流動などが再現できるかを検証した.残念ながら,理論と一致すべき点(液滴が真球形を保つ条件)が一致しておらず,数式とコードを再検証中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のとおり,積分公式を自分で導出を行ったが,条件により符号が変化するかしないかなど,非常に難解な幾何学を含むため,数学的な思考に時間を要している. EBE-MFT simulatorの枠組みのほとんどは完成しているので,現時点で問題があると考えている部分が改善できれば,後は予定通り進むことが出来ると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の積分公式の,数式とコードを見直し,理論と一致すべき点が一致するように改善する. 電場中の液滴の挙動について,さらに他者の実験や計算との比較を行い,本シミュレーターが電気流体力学現象の物理を再現できることを確認する. その次は,エレクトロウェッティング現象を,モデルを用いない数値解析により再現するため,開発されたシミュレーターに,絶縁層と電極で構成される固体層の表現を追加する.エレクトロウェッティング現象のシミュレーションを行い,低電圧時のヤング・リップマン式の再現,高電圧時のヤング・リップマン式の破綻,それらのメカニズムについての考察を目指す.
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Causes of Carryover |
残高が少額のため初年度に無理に使用することはしなかった.2年目の予算と合わせて有効に(外付け記憶装置:見積額4万円強を検討中)使用する.
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