2022 Fiscal Year Research-status Report
画像取得デバイスのナイキスト周波数を超える超解像非定常圧力変動現象解明技術
Project/Area Number |
22K03916
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
中北 和之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (50358595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 雄太 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (10898290)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非定常PSP計測 / 空力騒音 / NACA0012翼 / 超解像計測 / 高速度カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
FY2022は活動の1年目として、過去の研究実績から、超解像計測が適用できる非定常空力現象を発生させる流れ場として2次元NACA0012模型(翼コード長25cm)に発生するトレーリングエッジノイズ(TEノイズ)流れ場を選定した。低周波数・高解像データとして高速度カメラを用いた非定常感圧塗料(PSP)計測、高周波数・低解像度データとしてマイクロホンデータ(この他に複数点の非定常圧力センサデータも取得)の組み合わせで超解像データ処理を行う試験データを取得した。 本風洞試験においては950HzのTEノイズを主たる計測対象とし、700~1kHzの複数の周波数のTEノイズケースをデータ取得した。高速度カメラデータとしては、700~1kHzの現象を確実に包含できる画像レート(fps)である10kfpsの他、10kfps計測データを参照データとして超解像計測の効果を検証するために画像レートを落とした2kfps及び5kfpsの計測も行っている。マイクロホン、非定常圧力センサの計測レートは700~1kHzの現象に対して十分に高速である20kHzサンプリングである。 この他、同じ2次元NACA0012翼模型であるが、より高周波数のTEノイズを発生させて超解像度計測の実証を行う目的でコード長5cm(現象周波数で25cmコード長模型の5倍)のNACA0012模型も製作し、TEノイズ現象の高速度カメラ及び、マイクロホン・非定常圧力センサデータのセットの取得も行った。 風洞試験枠を与えられた時期が2023年3月となったスケジュールの関係上、超解像度データ処理は現在実施中であり、この関係で当初計画よりやや実施が遅れることとなっている。FY2023年度には2年目の試験計画と準備と並行して超解像度データ処理も進めることでスケジュール遅れは解消する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FY2022にはJAXA所有の小型低速風洞にてTEノイズを伴う非定常流れ場の高速度カメラ等の試験データ取得を行った。しかし、多数のユーザが使用を希望する当該小型低速風洞にあって、与えられた風洞試験枠は2023年3月の実施枠であり、FY2022中盤の風洞試験実施を前提にFY2022中に試験データを使った超解像度データ処理まで完了し、結果を考察した上でFY2023実施内容の見直しも含めた計画を策定するとの当初計画からはやや遅れる結果となっている。 ただし、FY2023に当該超解像度データ処理を進めるとともに、2年目に新たに取り組む技術チャレンジの計画を並行して進めることは可能であり、この活動方針で1年目風洞試験実施時期の影響による計画遅れは解消できることを見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年3月の低速風洞試験で取得した2次元NACA0012模型上のTEノイズ流れ場データに対し、超解像データ処理を実施する。懸念点としては、過去の研究実績で得られたTEノイズ流れ場の非定常圧力変動に対し半分以下の圧力変動しか得られなかったことがある。当時から小型低速風洞計測部に改修工事が入り、気流乱れ等の特性に何らかの変化が生じたことが原因として考えられるが差異の発生個所は不明であり、過去と同様の圧力変動を再現することは出来なかった。圧力変動量としては小さいものの、TEノイズ流れ場が発生していることは確認できており、この流れ場に対して超解像データ処理を試みる。計測データ、特に高速度カメラデータのS/N的な限界から十分な精度を持つ超解像データ処理結果が得られない場合には、2次元NACA0012模型に発生するTEノイズ現象ではなく、より大きな圧力変動と空力音を持つ現象(2次元円柱に発生するエオルス音現象など)を追加風洞試験し、超解像データ処理を試みる予定である。 FY2023に計画している技術開発としては、高速度カメラよりも低ノイズであるsCMOSカメラを使った超解像計測にもチャレンジする。sCMOSカメラは低ノイズというメリットがある一方、計測フレームレートは高々100Hzであるデメリットがある。非定常圧力変動現象としては2次元NACA0012模型よりも現象周波数の小さい2次元円柱等の流れ場を基本データとしてsCMOSカメラ利用のメリットを確認するとともに、より高周波数現象に対しどこまで適用可能かを確認するための2次元NACA0012流れ場計測などの計測も行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画ではコード長5cmの2次元NACA0012模型はNC機械による切削加工を想定していたが、東北大学が学内に保有する金属3D造形機械を用いることで同等性能の模型を遥かに安価に製造できることが確認できたために当初の計画を変更し、金属3D造形にて5cmコード長模型を製作することとしたために次年度使用額が発生した。 この次年度使用額については、主にsCMOSカメラを用いた超解像技術開発で用いる模型製作(本模型に用いる非定常圧力センサの購入なども含む)に充当する計画である。
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