2022 Fiscal Year Research-status Report
オンチップ微小液滴電気穿孔を可視化するマイクロ反応場の数値解析と実験による検証
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22K03936
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
中島 賢治 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (40311112)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電気穿孔 / 数値解析 / 膜電子透過化 / 遺伝子導入 / 電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までのオンチップ微小液滴電気穿孔法では、直流電源を用いていたため、電極で電気分解が起こっていた。それが原因で、マイクロ流路内で気泡が発生したり、電極が溶出したり、帯電性細胞物質が電極に付着したりするなど、電気穿孔に不都合な現象が起こる問題があった。そのため、2022年度からは直流電源に替えて交流電源を用いるようにし、かつ微小液滴を生成しないフロースルー型電気穿孔法へ移行している。これにより、電気穿孔後の細胞回収も効率的に行えるようになった。 上記の方針変更によって、当研究課題が受ける影響は軽微である。引き続き、電圧印加時の細胞膜電位分布を計算し、膜電位により膜電子透過化が起こる現象の計算を試みる。当方らの数値解析は、膜穿孔状態の経時変化が考慮に入っていないために膜電位計算がうまくいっていない。そのため、非定常の膜穿孔現象によって膜の導電性が変化する様子を計算条件に反映しなければならない。理化学研究所のMahmoudら(Analytical Chemistry, 2020)は、この問題を解決していると考えられるが、彼らの発表論文には、その数値解析手法について詳しく書かれていなかった。今後も計算手法の調査を継続する。 2022年度から研究されているフロースルー型電気穿孔については、以前のオンチップ微小液滴電気穿孔でも課題であった、一つの液滴に複数の細胞が入ってしまう現象が、さらに大きな課題となっている。約40μmの電極間に複数の細胞が塊で入ってしまうと、計画通りの電圧印加が行われないため、電気穿孔の未達成が起こると考えている。本研究室では、細胞をマイクロビーズで模擬し、細胞塊を分断する流路構造を実験と数値解析により調査する計画である。そのため、2022年度はマイクロデバイス流動実験観察装置を構成した。PDMS流路の外注には約50万円かかるため、代替策を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、豊橋技術科学大学では交流電源を用いる新方式へ移行している。これにより当研究課題が受ける影響は軽微であり、引き続き、細胞電気穿孔の数値解析と細胞塊を分断するマイクロミキサーの開発に挑む。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2020年に理化学研究所で行われた数値解析法(Mahmoudら,Analytical Chemistry, 2020)の調査を引き続き行い、細胞電気穿孔の数値解析について、現象に忠実な連成力学計算を実施する。すでに、2023年3月に、新年度の卒業研究学生を理化学研究所へ派遣し、数値解析法の調査に乗り出している。しかし、先方からは新規テーマの数値解析を依頼されることとなった。この1年は、”ナノ電気穿孔法によるRNAの抽出に関する数値解析”に貢献し、その中で本研究課題に必要な数値解析テクニックを習得する。 細胞塊を分断するマイクロミキサーのほうは、豊橋技科大と協力してPDMS流路を作る体制を構築したい。また、それが叶わなかったとしても、mmオーダーのマイクロ流路を本校で製作し、スケールアップした実験装置を構築し実験を行う。
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Causes of Carryover |
実験装置製作において、マイクロデバイス流路の製作が予算オーバーでできなかったため、その相当額を繰り越した。
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Research Products
(1 results)