2023 Fiscal Year Research-status Report
新たな低温潜熱蓄冷媒体としてのW/O型・O/W型エマルションの生成と熱伝達の解明
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22K03945
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀部 明彦 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50229241)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エマルション / W/O型 / O/W型 / 潜熱蓄熱 / 低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温潜熱蓄冷媒体としてのW/O型(連続相:油系,分散相:水系)およびO/W型(連続相:水系,分散相:油系)潜熱エマルション生成に関して検討しており、2022年度から2023年度の研究の結果、O/W型エマルションが有望であるとの結果を得た。そのため、O/W型エマルションの生成に関して最適条件を見つけるために種々のパラメータを変化させ、分散安定性や粒子径などを観察した。エマルションの長期的な分散安定性は、相変化蓄冷材として使用する上で非常に重要となる。分散安定性を持つためには分散相の相変化(PCM)粒子を可能な限り微細化する必要がある。まず-10℃蓄熱をターゲットに以下の実験を行い静置観察や粒径分布測定を行った. 1.界面活性剤添加濃度の選定実験 2.撹拌回転数の選定実験 3.撹拌時間の選定実験 生成した試料を静置観察したところ,生成から30日後には2層に分離している様子が確認された.考察の結果から界面活性剤の親水性,疎水性の強さを表すHLB値が最適条件でない可能性が考えられたため,HLB値の最適条件を求める実験を行った.その結果,長期間静置後にも合一の要因となるクリーミング現象が生じないエマルションが生成されている事が判明したため,示差走査熱量計による測定,冷却実験,粘性率の測定を行い,生成した試料を評価している.結果として,ほぼ安定したエマルションの生成を可能としたが,やや大きな過冷却挙動が確認されたため,過冷却低減のための検討が今後必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低温潜熱蓄冷媒体としての潜熱エマルション生成に関して検討しており、これまでの多くの試行錯誤を含む研究の結果、O/W型エマルションが有望であるとの結果を得て、対象を絞り込んでいる。O/W型エマルションの生成に関して種々のパラメータを変化させ、分散安定性や粒子径などを観察した結果、現時点での最適条件を得ることができており、研究としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対象をO/W型エマルションに絞り、生成したエマルションにおいて,温度や冷却速度など種々の条件にて過冷却現象・凝固挙動を観察し,必要に応じて添加剤等や機械的刺激などの過冷却防止措置を検討する。また,せん断速度を変化させ測定することが可能な回転粘度計と恒温槽を使用して動粘性係数を測定する。加えて、他の物性値についても検討し,エマルションの評価を行う。また、現時点では-10℃レベルのエマルション生成となっているため、並行してより低温に対応できるエマルションの生成に取り組む。 最終的には,新しいエマルションの熱伝達挙動を把握するために円管内流動の際の熱移動に関する実験と測定を行う予定である。全体として、新たな低温蓄冷材に向けての基礎的資料を得る。
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Causes of Carryover |
研究進行に伴い,おおむね計画通りに助成金を使用しており、わずかな残金は2024年度で使用する。
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