2022 Fiscal Year Research-status Report
プラスチック流路内で誘起される自励振動式熱輸送現象のメカニズム解明と理論構築
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22K03947
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小糸 康志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70347003)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自励振動式ヒートパイプ / ポリマーヒートパイプ / 熱輸送 / 伝熱促進 / 気液二相流 / 可視化 / 映像解析 / ハイドロフルオロエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プラスチックを対象とした自励振動式ヒートパイプの設計式を構築することを目的としている. 本年度は,①透明のプラスチック素材を用いて自励振動式ヒートパイプを製作し,②可視化実験と映像解析を行う環境を整えた.①では,プラスチック素材を用いてヒートパイプの流路を製作し,この流路を透明のプラスチックシートで挟む形状で自励振動式ヒートパイプを製作した.なお,これまでの研究成果を踏まえて,ヒートパイプの流路断面を1.3mm×1.1mm,流路本数を14本とし,作動流体にはハイドロフルオロエーテルを用いて流路内に液スラグ・蒸気プラグの状態で分散させた.②では,ヒートパイプを加熱・冷却し,ヒートパイプ内で誘起される液スラグ・蒸気プラグの自励振動現象を高速度ビデオカメラを用いて撮影する環境,ヒートパイプの温度分布の経時変化を熱電対を用いて測定する環境を整えた.その上で,複数の映像解析ソフトを用いて撮影データを解析し,液スラグ・蒸気プラグの動きをデジタルデータとして取得する環境を整備した. ①,②の終了後,重力の影響が入らないようヒートパイプを水平に設置し,加熱条件を変化させて可視化実験と映像解析を行った.プラスチック系自励振動式ヒートパイプ内でも自励振動現象が誘起されるが,液スラグ同士,蒸気プラグ同士の合体が起き,これらの分布が従来のものと異なることが明らかになった.本ヒートパイプの特徴的な合体現象であるため,引き続き現象解明を行う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にしたがって,透明のプラスチック素材で自励振動式ヒートパイプを製作し,可視化実験と映像解析を行う環境を整えることができたこと,その上で,ヒートパイプを水平に設置した場合について,液スラグと蒸気プラグの特徴的な分布と動きを明らかにすることができたことから,「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に明らかになった液スラグ・蒸気プラグの特徴的な分布と動きについて吟味する.この際,基本的な特性として,ヒートパイプ非加熱時の液スラグ・蒸気プラグの分布についても調査し,プラスチック系自励振動式ヒートパイプとメタル系自励振動式ヒートパイプの熱輸送メカニズムの違いに迫る.さらに,重力の影響を確認するため,ヒートパイプを傾けて初年度と同様の可視化実験と映像解析を行う.熱輸送メカニズムの相違点と重力の関係を明らかにした上で,プラスチックを対象とした自励振動式ヒートパイプの設計式を構築する.
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Causes of Carryover |
本研究では,液スラグ・蒸気プラグの形状と分布,動きを解析する研究設備を整える.次年度使用額(B-A)は,このための物品購入の一部を令和4年度から令和5年度に変更したために生じたものである.次年度使用額(B-A)は,翌年度分として請求した助成金と合わせ,当該研究設備のために令和5年度に使用する.
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