2022 Fiscal Year Research-status Report
輻射加熱下における壁面上の水膜形成過程の可視化および輻射遮蔽効果の定量的解明
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22K03952
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹下 学 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (70549584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大宮 喜文 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (10287469)
小野 直樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20407224)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 防災 / 火災 / 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,建築物の延焼防止手法である壁面への散水システムの最適化を背景に,建築部材の表面を流下する液膜が火炎からの輻射を遮蔽する効果を定量的に解明するために,輻射加熱壁面上の流下液膜を対象として,散水システムが噴射する液滴が壁面上で液膜や飛散液滴を形成する過程,および蒸気・飛散液滴・流下液膜それぞれによる輻射遮蔽効果を明らかにすることを目的としている.今年度は,レーザ・蛍光計測手法を用いてスプレーが平板上で液膜・飛散液滴を形成する動的過程および輻射加熱が液膜内に形成する温度分布を直接計測するための実験系を設計した. 具体的には,流量・温度の制御されたスプレーを吹きつけて鉛直壁面に液膜を形成する装置と,PLIF(Planar Laser Induced Fluorescence)法を用いて,PIV粒子および蛍光染料を混合した液体をスプレーノズルで壁面に噴射し,液膜が形成される様子を高速カメラによって観測するための光学系を設計した.PIV解析により液滴の合体や液滴が液膜に取り込まれることで液膜が形成される動的な過程を明らかにするとともに,LIF解析によって液膜厚さの変化を求めることができるものと考えられる. また,本研究課題の前提となる研究課題において,輻射加熱下での流下液膜で発生するべき流動不安定が予想された条件下では再現できなかった.これは,予想に用いた既往研究が輻射加熱ではなく,液膜下部からの熱伝導による加熱を用いていたため,流動不安定の要因である液膜表面の温度分布および表面張力の分布が大きくなかったためであると考えられた.熱流計を用いて加熱量を確認するとともに,その原因を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍に伴う実験遂行の遅れにより,計画通りに進んでいない箇所があった.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に設計した液膜形成装置含めて実験系を構築し,PLIF(Planar Laser Induced Fluorescence)法を用いて,PIV粒子および蛍光染料を混合した液体をスプレーノズルで壁面に噴射し,液膜が形成される様子を高速カメラによって観測する.PIV解析により液滴の合体や液滴が液膜に取り込まれることで液膜が形成される動的な過程を明らかにするとともに,LIF解析によって液膜厚さの変化を求める.さらに,蛍光強度に温度依存性のある染料を用いることで,液膜内部の温度分布を計測し,形成途中の液膜や表面波のある状態について輻射熱の遮蔽効果を実験的に計測することを目指す.
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Causes of Carryover |
コロナ禍による実験遂行の遅れにより,計画通りに装置の製作が進まなかった.2023年度は2022年度に実施予定であった実験系の構築を進める.
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