2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of ground source heat pump using direct expansion method and shallow part ground heat by using horizontal underground heat exchanger
Project/Area Number |
22K03964
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武田 哲明 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30370422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地中熱 / ヒートポンプ / 成績係数 / 空調 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は直接膨張方式地中熱ヒートポンプの連続運転時の地中温度変化による性能への影響を確認することを目的として暖房運転時の熱交換性能を調べた、本実験に用いた地中熱交換器は、市販の空気熱ヒートポンプに使用される空気/冷媒熱交換器を水平にしてステンレス製の容器内に挿入したものであり、容器の寸法は1200mm×700mm×150mmである。ステンレス容器内には水を充填して注水可能とし、深さ約 0.3mの浅層に埋設した。容器内の水は貯水タンクからバルブを開放することにより供給した。採放熱管は長さ2m、途中で3分岐させて、分岐前の直径は3/8インチ、分岐後が1/4インチである。冷房室外機出力は4.0kW、暖房室外機出力は5.0kW、使用冷媒はR32を0.9kg封入した。設定温度は24℃、空調面積は26㎡とした。性能評価はJISに基づいた10時間連続運転と実用的な運転を想定した1週間連続運転の2通りで実施した。 空調性能を求めるにあたり、ヒートポンプ側の冷媒流れは気液二相流となり熱量計測が容易ではないことから、室内機側で熱量を計測した。室内機側にはダクトを作成して取り付け、白金測温抵抗体と熱線風速計を用いて、室内機の吐出温度、吸込温度、吐出風速を計測した。得られた値から吸込口、吐出口間のエンタルピー差を算出し取得熱量を求めた。熱交換性能の評価には成績係数を用いた。 10時間連続運転における底面温度、気温、上面温度の変化を調べると、上面温度が気温に沿って変動している。これより、地中熱交換器上部周辺地温は外気温の影響を大きく受けていると推測できる。平均COPは3.51であった。 1週間連続運転におけるCOPは約3であり、安定した運転が可能であることを確認した。1週間の連続暖房運転の平均COP=2.71、1週間の連続運転において9.4%の性能低下が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地中熱交換器を特に地上から30cmという浅層部に埋設することで、太陽熱による地中温度変化の大きい場合について、地中熱ヒートポンプの性能がどの程度影響を受けるかを実験により調べることにより、多くの技術情報を得ることができた。2022年度は、まず暖房運転を行って、その成績係数を求め、今後の冷房運転、並びに浅層部に埋設する際の冷暖房性能が受ける影響について、概ね把握することができた。これにより、今後は冷房運転、並びに過負荷状態において水冷システムの補助的役割の確認を行うことができ、概ね研究は予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の意義は蒸発・凝縮を伴う相変化による採放熱が可能となる地中熱交換器の開発を通して、太陽熱の影響を受けやすい浅層部分での熱交換器の性能を明らかにすることにある。さらに、高負荷連続運転時に土壌からの採放熱量が不足する事態になっても、ほんの僅かな水量を流すことにより、連続運転が可能であることを確認することである。熱交換器を地中の浅層部分に設置して、冷媒の蒸発・凝縮熱を直接地中との間で採放熱が可能となれば、ボアホールの掘削が不要となり、熱交換性能と経済性の向上に繋がる。 これらの目的を達成するため、(①)空気熱ヒートポンプの室外機内に収められている空気/冷媒熱交換器の銅管仕様を参考にして、直径6mm程度の複数銅管を用いた水/冷媒熱交換器をステンレス容器内に挿入した地中熱交換器を設計・製作し、これを地表面から3m以内に埋設して冷暖房空調運転時の基本性能を求める。(②)高負荷連続運転時における採放熱量を補助する目的として、ステンレス容器内への僅かな注水により連続運転を行い冷暖房運転時のCOPを求める。(③)給湯専用器に特化した水平型地中熱交換器を製作し、縦型ボアホールを用いた場合の性能低下が防げることを実証することとしている。 今後は浅層部に埋設することで、暖房運転においては、地中からの採熱が十分でない場合、冷房運転では地中への放熱が十分でない場合に、水冷方式を併用することで性能がどのように変化するかを調べる予定である。この水冷方式を採用する際には、何処の温度、あるいは圧力変化を計測して、それらの値により、熱交換器内の水量を調整し、電磁弁を利用して自動制御を可能とする実証試験を実施する。さらには地中埋設深さを変更した場合の性能変化についても調査する。
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