2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03967
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
金田 昌之 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50346855)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自然対流 / 磁気力 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部からの摂動により自然対流を広範囲に促進できる可能性があり,これを永久磁石による常磁性流体からの磁気力で可能にすることを目的としている. 今年度はまず始めに,対流の非定常化を起こせる条件を明らかにすべく数値解析を実施した.解析は二次元の有限差分法コードを構築し,解析対象として片側加熱の鉛直ダクトを想定した.加熱面の外側にに2個の磁極交互配列磁石を配置することで,流体に局所的な磁場を印加した.その結果,周期的な温度振動が生じることが明らかとなった.時間平均したところ,広範囲な伝熱促進効果が確認された.この効果が発現する条件について加熱冷却面の温度差ならびに磁場強度を変えた解析を実施し,条件を明らかにすることができた. さらに本現象の実現可能性を検証するために相応する実験装置を設計・製作した.常磁性流体として硝酸ガドリニウム水溶液を用い,鉛直ダクトの代わりに鉛直面を加熱・冷却した矩形容器を用いた.加熱面付近のダクトを部分的に模擬するため,容器内に鉛直の仕切りを設けた.磁場印加下の壁面の温度を白金測温抵抗体で計測した結果,不連続な温度振動が発現し,時間平均した結果伝熱促進効果も確認できた. お互いの振動現象の周波数特性を比較した結果,定量的な一致は見いだせなかったが,永久磁石からの磁気力が自然対流を振動化させる点では一定の結果を得た.また,磁場印加時の伝熱促進効果も良好に観察されたことから,一定の目的を達成したと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析こそ二次元であったものの,三次元化への足掛かりは達成している.また実験装置を製作でき,壁面温度を計測したところ磁場印加時には温度が非定常な振動を呈することが確認できた.この現象はこれまでどこにも報告されていない,新しい現象である.
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析による詳細な現象解明が求められるため,三次元数値解析コードの作製と解析実行を予定している. また実験については実験条件と温度振動の関連性を把握することを目標とし,可能であれば対流の可視化を検討している.
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Causes of Carryover |
出張旅費については代表者の家庭の不幸で急遽取りやめたことが大きな原因. 当初の実験購入予定だった試薬については試薬の反応領域が実験のそれと異なることを確認したため,再検討するために2022年度は購入を見合わせた. 実験から計測の必要な温度域が明らかになったため試薬は2023年度の購入を予定しており,また国際学会での支出も増える予定
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