2022 Fiscal Year Research-status Report
Cooperation Control Platform of Micro-Robots Implemented LiDAR System
Project/Area Number |
22K03985
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
長澤 純人 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30400279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロロボット / 組込型LiDAR / MEMS積層静電型角度センサ / 形状記憶合金 / Robot Operation System / XRCE-DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の3つの研究項目を柱として,効率的に研究を実施している.本年度の成果は審査付英文論文2本,国際学会発表3件,国内学会発表2件で発表された.
【1】マイクロロボット用の組込型LiDARの開発: IMU (Inertial measurement unit) で時々刻々のロボットの姿勢を推定し,その姿勢推定に合わせてLiDARで測定した2次元の深度測定値を補正する実験と評価を実施している.非常に小型で我々の小型多脚ロボットにも搭載可能なToF式レーザ距離センサ (VL53L1X) から得られた距離とIMUから得られたヨー角から直交座標系に変換,2次元での点群描画するシステムを構築した.取得した空間情報の類似度測定は,相互相関関数を計算して定量的に評価を行った. 【2】MEMS積層静電型の角度センサのアクチュエータ化: 積層静電型の角度センサは折紙構造のロボットフレームと一緒に一枚のPCBシートから折り上げて製作する.積層静電型の角度センサは,静電容量変化から角度を推定可能で,モータと組合せて角度フィードバック制御に成功した(原・長澤ら, JJAP, 2021).小型多脚ロボット適用のため,SMA(形状記憶合金ワイヤ)による駆動でもフィードバック制御を実現した. 【3】アプリケーション開発のためのミドルウェア実装: 自己設計の中型多脚ロボットにLiDARとIMUを搭載し,ROSによるSLAM (Simulutanious Localization and Mapping) の検証を実施している.クローラ駆動の移動ロボットにも同じハードウェア構成でLiDARを搭載し,多脚移動のSLAMへ影響を定量評価した.組込みMPUなどの処理能力が限定的なシステムでも信頼性の高い遠隔通信・計測・制御を行うXRCE-DDSを動作させるため,これに対応するROS2の導入を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロロボット用の組込型LiDARはIMUと連携した固定LiDARの試作を進めている.積層静電型の角度センサのアクチュエータ化に関しては,積層電極のギャップをかなり小さくしないと十分な駆動が難しいことがわかり,代替として小型軽量なSMA(形状記憶合金ワイヤ)によるユニット化を進めた.ミドルウェアの実装に関してはROSによるSLAM実装の定量的評価を実施した.各研究項目はほぼ予定通りに進んでおり,このため自己評価は「おおむね順調」としている.
【1】マイクロロボット用の組込型LiDARの開発: 多脚ロボットへのLiDARの搭載を進めている.多脚ロボットは歩行時に姿勢が揺れるが,この揺れを利用して固定LiDARでもある程度の範囲情報を取得できないか検討している.このためにはLiDARの点群データ測定とIMUによる姿勢推定が連動する必要があり,2022年度はその最初の試行を行った. 【2】MEMS積層静電型の角度センサのアクチュエータ化: 積層静電型の角度センサの構造は,積層した電極に電圧印加すると電極間に静電引力が発生してアクチュエータにもなるはずである.2022年度は試作を進めたが,電極間ギャップをかなり小さくしないとアクチュエータとして駆動するだけの静電力の発生が困難であることがわかった.実現可能な代替としてSMA(形状記憶合金ワイヤ)による駆動ユニットを試作した. 【3】アプリケーション開発のためのミドルウェア実装: 多脚ロボットにSLAMを実装すると,姿勢の揺れによる影響がある.駆動系だけをクローラ型と多脚型で異なり,LiDARや制御系は同じ構成の2台のロボットを試作し,脚移動がSLAMに与える影響を定量的に評価した.SLAM処理はロボット本体のMPUではなく,LiDARの測定データをホストPCに送信して処理を行うが,これをROSで実装した.
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Strategy for Future Research Activity |
各研究項目の進捗は,ほぼ予定どおりに進んでいる.2022年度はMEMSプロセスをあまり用いずに,多脚ロボットへの組込型LiDARの試作,角度センサとアクチュエータのモジュール化,ROSによるSLAM導入を進めたため,進捗は予定よりも早かった.2023年度はこれらのシステム要素の統合化を進めていく.
【1】マイクロロボット用の組込型LiDARの開発: 固定LiDARの精度に関してはかなりの改善の余地があり,2023年度では早急に対応する.精度を悪くしていた原因の一つがIMU姿勢推定のタイムラグだったので,処理を見直す.またIMUによる深度測定データの補正は,2022年度は2次元だったため,3次元への拡張を進める.脚制御によって体軸を振ることで,固定LiDARで行う3次元の空間把握の評価を検討する. 【2】MEMS積層静電型の角度センサのアクチュエータ化: 積層静電型の角度センサは,アクチュエータにSMAを用いることでモジュール化を行う.積層電極をアクチュエータとして用いないのであれば,角度センサは構造が簡単な折曲抵抗変化型でもかまわないため,角度センサの方式は再検討する必要がある.これまでは単脚でのモジュール化を進めてきたが,2023年度は6脚自立移動を可能にするため,多脚ロボット全体の試作を進める. 【3】アプリケーション開発のためのミドルウェア実装: 2022年度にはシステム全体へのROS導入が予定どおり進んだと考えている.2023年度は,多脚制御のための角度センサとアクチュエータフィードバック制御もROS上で実装し,LiDAR, IMU と連動してSLAMを実現するために,これら全ての統合実装を進める.
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Causes of Carryover |
2022年度は,多脚ロボットや角度センサとアクチュエータのモジュール化の試作・評価はMEMSプロセスを使わない実験系で行ったため,MEMSプロセス関連の費用は2023年度に持ち越しとした.MEMSプロセスを使わなかったため,サイズ的には大きなものとなったが,ミドルウェアの実装やセンサ・アクチュエータモジュールの試作はスピードアップできたといえる.2023年度はシステムの統合化を進めるため,適宜MEMSプロセスも進めていく.
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Research Products
(7 results)