2022 Fiscal Year Research-status Report
ゼロ制御パワー現象を基調とした一般化グローカル能動騒音制御
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22K03986
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
岩本 宏之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (90404938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 翔太郎 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 助教 (00825945)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 一般化グローカル制御 / 能動騒音制御 / 音響パワー |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元自遊空間においてグローバルの騒音抑制効果を得るためには音響パワーを制御する必要がある.能動騒音制御によってこれを実現しようとすると,制御音源のみならず騒音源の情報が必要になる.騒音源の情報にアクセスすることは必ずしも可能ではないので,音響パワー制御系の実現は困難な場合が多い.そこで,本研究プロジェクトでは制御音源の情報のみから制御系の評価関数を構築し,その値を最小化することで音響パワーを最小化する手法の確立を目指す.当該手法確立の基礎となるのがゼロ制御パワー現象である.ゼロパワー現象とは,最適状態において制御音源のパワーがゼロになる現象を指す.逆説的に考えると,ゼロパワー現象を積極的に惹起することによって,全音響パワーを最小化できる可能性がある.特に本研究プロジェクトでは,音源の形態や数に制約を与えずに,制御理論の一般化を目指す.
当該年度においては,ピストン音源の次に複雑な音源の例として2重極子を制御音源に用いた場合について検討を行った.これらの音源は,単極子(点音源)とは異なり,放射音が指向性を持つため,従来手法とは異なる特性をもつことが予想される.数値的な検討によって、以下のことが明らかになった.
1.制御音源の指向性ビームが騒音源の方向を向いている場合に制御効果は最大となる.これは,最適制御時において制御音源のパワーがゼロとなり,全音響パワーが騒音源の音響パワーに等しくなることに起因する.すなわち,制御音源が騒音源のパワーに最も盈虚を与えられる状態が最適制御状態となる. 2.単極子(点音源)の場合と同様に制御音源と騒音源の距離が小さくなると制御効果は向上する.ただし,2重極子は指向性音源であるため,音源の位置が同じ場合に全音響パワーがゼロになるようなトリビアルな状態は発生しない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グローカル制御の一般化において,ピストン音源以外の分布音源の場合を考えることは重要である.2重極子はそのような音源の中でも最もシンプルなものであるが,薄肉矩形平板が(2,1)モード(あるいは(1,2)モード)で振動している場合やダイポール型ウーファー等,実在する音源のモデルである.したがって、これを利用した際の音響パワー制御の特徴を把握できたことには大きな意義がある.以上のことより,当該年度における進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,以下の2項目に注力するものとする. (1)制御音源のアクティブパワーとリアクティブパワーの比(あるいは制御音源近傍におけるアクティブインテンシティとリアクティブインテンシティの比)を評価関数とする適応制御アルゴリズムを構築する。 (2)2重極子以上に複雑な分布音源が複数個ある場合の音響パワー制御の特性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも消耗品の購入が少なかったため,次年度使用額が生じた.この残額は次年度の消耗品購入費に吸収させる予定である.
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