2022 Fiscal Year Research-status Report
フィラー充填による接着接合部材の剛性・減衰同時最適化
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22K04004
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
関口 泰久 近畿大学, 工学部, 教授 (60226644)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 接着接合 / フィラー / 剛性 / 損失係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,はり試験法の中でJIS K 7391で規定されている中央加振法を用いて接着剤の機械的特性を求めた.本手法では,まず信号発生器を用いて発生したスイープ正弦波により加振器を用いて試験片を加振し,その加振力と加速度をインピーダンスヘッドで検出する.その後FFTアナライザで検出した加速度信号を積分し,速度信号に変換して周波数応答(機械インピーダンス)を出力した後,固有振動数と半値幅法により損失係数を測定する.中央加振法によって測定された損失係数は基材(鋼)も含めた損失係数であることより,RKU方程式によって基材(鋼)の影響を除去した接着剤単体の弾性係数および損失係数を算出する. 実験には高強度構造用接着剤の一種である,構造用エポキシ接着剤を用いた.本接着剤は自動車等の振動部で使用されることが多く,接着剤の動的特性である貯蔵せん断弾性率や損失係数を把握することは大切である.接着剤には一般的にその機械的特性を向上させるために,フィラーと呼ばれる微粒子を充填する.本実験では接着剤の剛性を高めるためにシリカをフィラーとして使用した.その際に粒径の異なる2種類のフィラーを混合充填し,接着剤の剛性と損失係数に与える影響を考察した. 本研究の目的はフィラー充填による接着剤の剛性と減衰特性の同時向上法の確立である.フィラーとして粒径がミクロンオーダーのものと,新たにナノオーダーのフィラーを準備し,接着剤に混合充填し,その充填率や混合割合が機械的特性に及ぼす影響を考察した.その結果,一般的には,高剛性のフィラーを充填することで損失係数は減少するが,両フィラーを適切に混合充填することで両特性を同時に向上できることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの研究において,複数のフィラーを接着剤に混合充填し,剛性と損失係数といった動特性の同時向上を実現することができた.このためのフィラーの混合割合を求めた.この結果は,本研究において最も重要な点である. 一方,接着剤あるいは接着接合部材の動特性は温度に依存するが,現在のところ当初予定していた温度依存性についてはまだ評価ができておらず,当初計画より遅れていると考えている.これは現状までの実験に予想されたより時間を要したことが原因であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,まず混合フィラーを充填した接着剤の動特性評価において,温度依存性を明らかにする.現在までに得られたフィラー充填法による接着剤剛性と損失係数の向上法を使用し,さらに温度変化の両特性への影響を考察する. 実験は恒温器の中で実施し,自動車などが使用される零下20℃から接着剤のガラス転移点程度の温度(60℃程度)までにおける実験を行う.中央加振法によって測定された損失係数は基材(鋼)も含めた損失係数であることより,RKU方程式によって基材(鋼)の影響を除去した接着剤単体の弾性係数および損失係数を算出する.以上の実験によって,接着剤のガラス転移温度を求めると同時に,その値と粘弾性の温度変化を表す式であるWLF方程式を用いて,温度周波数換算則によって換算周波数ノモグラムを作成する.その結果として,接着剤の動特性向上における複数フィラーの充填法に対する温度の影響を明らかにすることを計画している.
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Causes of Carryover |
当初計画していた,複数のフィラーを混合充填した接着剤および接着接合部材の動的特性における温度依存性評価の研究が遅れているため,恒温器の購入,および試験片製作にかかる費用の使用ができず,次年度使用額が生じた. 今後は上記実験の実施のために恒温器の購入を計画していると同時に,実験に使用する試験片製作に助成金を使用する.さらに,成果発表のために旅費使用を計画している.
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