2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04010
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
橋本 稔 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60156297)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 低電圧化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PVCゲルアクチュエータの駆動に必要な電圧の低下を目的とする。現在PVCゲルアクチュエータの駆動に数百Vの印加電圧を必要としている。より安全なアクチュエータを創出するためには更なる低電圧化が必要である。 本研究の目的を達成するために、次の研究を実施した。①PVCの重合度の異なるアクチュエータを作製、特性を評価した。②異なる種類の可塑剤を用いてPVCゲルを作製しアクチュエータの特性を評価した。③PVCと可塑剤の組成比を変化させてアクチュエータを作製し、その特性を評価した。いずれもPVCゲルアクチュエータは積層型アクチュエータであり、サイズは10㎜×50㎜の3層構造のものを作製した。10Vから100Vまで10V刻みに電圧を印加しその挙動を観察した。①~③までの結果を踏まえ、低電圧化に効果的なPVC重合度、可塑剤の種類、組成比について考察した。 次の研究結果が得られた。①重合度3800のPVCで作製したアクチュエータは100V印加時に約3.2%の変位が得られた。重合度400のPVCの場合は約1%の変位であった。②可塑剤DESeb(セバシン酸ジエチル)、DEA(アジピン酸ジエチル)、DBA(アジピン酸ジブチル)の3種類のアクチュエータについて印加電圧と変位の関係を求めた。その結果、DBA>DEA>DESebの順で変位量が変化した。③可塑剤の量を変化させて特性を測定した。PVC:DBA=1:4の場合と1:8の場合を比較した。100V印加時の収縮率が、1:4の場合3.2%、1:8の場合には4.5%となった。 以上より、PVC重合度については重合度の大きい方が、大きな変位となった。可塑剤はDBAがDEAやDESebよりも大きな変位が得られた。組成については、可塑剤量が多いほど変位量が大きい傾向になったが、どの程度まで増加させられるかは今後の課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画通り、PVCの分子量と可塑剤の種類による特性変化について検討を行った。そのため、概ね計画通り研究を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、次の2点について研究を行う。①塩素化PVC、架橋PVCの利用による低電圧化を行う。②高誘電率フィラーの導入によりPVCゲルの高誘電率化を実現し、低電圧化を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度は、コロナ禍の影響で学会等がオンラインになり出張する機会が少なくなったため当初計画に対して残が発生した。次年度はコロナ感染症の発生率も減少し、5類に移行したため、学会や打ち合わせが対面で行えるようになるので、繰越額を出張旅費として使用する計画である。
|