2023 Fiscal Year Research-status Report
物体を隙間なく覆う固定具に必要な力学特性の解析と実現
Project/Area Number |
22K04019
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
満田 隆 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30335591)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ソフトロボット / 可変剛性 / 梱包 / 固定具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、物体を隙間なく覆ったのちに硬化する固定具の開発とその理論的解析である。2023年度は、内部の空気を抜くことで収縮し、物体に巻き付くリング形状のグリッパ(ゴムバンドグリッパ)について、豆腐のように柔らかい物体を崩すことなく周囲全体に巻き付いて把持できることを実験により確認した。とくに、さまざまな大きさの豆腐やケーキのような三角形の豆腐も、崩すことなく把持してロボットアームで移動できることを確認した。対象物体の形状を計測せずとも、空気を抜くだけで物体形状に合わせて巻き付く点が特長である。また、グリッパのリングを分割して、対象物体の形状に応じてリングの収縮箇所を調節することにより、物体とリングの接触力をより小さくできることを見出した。これらの研究成果は、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会(Robomech2023)で発表した。 また、内部の空気を抜くことで縦横両方向に収縮する収縮体を開発し、この収縮体を箱型に組み合わせた自動梱包機構が、さまざまな形状の物体を覆って固定できることをX線CTを用いた計測によって確認した。また、本梱包機構はスポンジやゴムなどの柔軟物体で構成されるため、外部からの衝撃を緩和できることを実験により確認した。本研究成果についてもRobomech2023にて学会発表した。さらに、織物を積層した可変剛性シートが曲面を隙間なく覆うために必要な伸縮率の理論的な解析と実験による検証結果をまとめた論文が学術誌Advanced Engineering Materialsに掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工業用X線CTの導入により、物体を覆ったときに生じる隙間が計測できるようになった。一方、物体との接触力については、次欄に示すように計測に課題があることがわかった。物体表面を覆うときの皴の生成については理論的な解析を進められた。しかし、剛性のモデル化に関しては影響するパラメータが多いことに加えて、塑性変形も考慮する必要があることがわかった。これらの課題についてはRobomech2024で研究発表する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究計画を以下に列挙する。 1. ロボットグリッパおよび自動梱包機構と対象物体との接触力は微小で、かつ表面形状が曲面であるため、市販の圧力センサでは計測が困難な場合がある。X線CTを利用するなどして新しい計測方法を開発する。 2. スポンジを用いた収縮体と可変剛性シートを組み合わることで、隙間なく物体表面を覆う固定具を開発する。 3. 物体の形状に応じて剛性を部分的に調整することで、隙間なく物体表面を覆うオーダーメイドタイプの固定具を開発する。
|
Causes of Carryover |
研究遂行に必要な工業用X線CTのリース費用を2024年度に支払う必要があり、当初の予算では不足するため。
|
Research Products
(4 results)