2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the musculoskeletal system of dolphins during tail stand and development of an underwater propulsion mechanism based on the musculoskeletal structure
Project/Area Number |
22K04026
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 俊一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (50225512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 昌俊 長野工業高等専門学校, 機械ロボティクス系, 教授 (00806242)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / バイオミメティクス / イルカ / 生物規範型ロボット / 水中推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
水棲生物の中でもイルカの運動能力は高く、胴体を水上に持ち上げる立ち泳ぎができる。しかし、その立ち泳ぎの力学的な解析はまだ検討されておらず、どのようにしてイルカは立ち泳ぎを実現しているのかが十分に明らかにされていない。特に、解剖学的な視点からはない。 そこで、本研究課題では、イルカの立ち泳ぎにおける筋骨格系のモデル化を行い、その逆動力学解析によって、イルカ筋骨格系の力学的状態を加えた、より総合的な立ち泳ぎのメカニズムを明らかにする。これにより、水族館など、イルカを飼育する環境でのトレーニングや健康管理に参考となる資料を提供する。さらに、解明した立ち泳ぎのメカニズムを、イルカの尾びれを規範としたフィンによる水中推進機構に技術的に移転させ、高推力化を実現させる。これにより生物規範型の水中推進機構に、単なる遊泳だけでなく、推力向上による水中における物体の保持、物体の水上へのリフトアップ技術などの実現といった、新たな動作タスクの創出につなげる。 2022年度は、カマイルカがその場で立ち泳ぎをする「静止立ち泳ぎ」を名古屋港水族館において撮影、その映像から3次元動作解析を行い、立ち泳ぎ動作の時系列データを構築した。この結果、立ち泳ぎ時の上体高さ(リフトアップ量)が大きくなると、揺動振幅を少なくさせて揺動周期を短く(振動数を高く)することがわかった。次に、立ち泳ぎ動作の時系列データを用い、数値流体計算によってイルカの立ち泳ぎ時の尾びれにかかる流体力の解析を行なった。また、イルカの解剖学の研究報告からイルカの筋骨格系のモデル化を行い、今後の逆動力学解析に適用するための立ち泳ぎ動作時における筋骨格系の挙動を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カマイルカの立ち泳ぎ動作の時系列データについて、移動しながら立ち泳ぎする動作については既に計測済みであったが、2022年度においてはその場で立ち泳ぎをする「静止立ち泳ぎ」についても撮影、3次元動作解析を行い、必要となる立ち泳ぎ動作の時系列データの充実を図った。 イルカの立ち泳ぎにおける流体力の解析については、(本格的な数値流体計算を研究分担者が2024年度から実施することになっているが)基本的な形状で、運動振幅が小さい条件では解析できた。 イルカの筋骨格系のモデル化については、3次元データ構築までは至らなかったが、立ち泳ぎの運動に寄与する筋骨格系について抽出することができた。これより次のステップとなる逆動力学解析のための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.イルカの立ち泳ぎにおける流体力の解析: 2023年度から流体力の解析にあたって必要なイルカの正確な3次元形状のデータ構築を行って解析する。2024年度からは尾びれ変形の時系列データも含めて解析する。 2.イルカの筋骨格系のモデル化: 2023年度から骨格標本やCTによる健康診断データなどから、イルカの筋骨格構造を3次元でモデル化し、逆動力学解析に利用できるように近似化する。その際、筋肉を包み込む強靱な皮下結合組織鞘も弾性変形の要素としてモデル化する。 3.イルカ筋骨格系における逆動力学解析: 2023年度からイルカの筋骨格系モデルの逆動力学解析を、筋骨格モデル機構解析システムを用いて行う。その際、イルカの動作とイルカにかかる流体力を入力項目とし、筋肉の発生力、腱にかかる力、関節モーメントなどの筋骨格系の力学的状態を出力項目として計算する。この結果から、高推進力につながる筋骨格系のメカニズムを明らかにし、水中推進機構開発のためのイルカ筋骨格系からの移転技術の抽出を行う。それらの結果を用いて2025年度に水中推進機構の開発・推力と挙動の評価を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度の配分額が少なく、当該年度に購入することになっていた筋骨格モデル機構解析システムが高額になってしまったため、2023年度の研究遂行が困難となった。そのため、2022年度は可能な限り出費を抑えて実施し、撮影、動作解析、数値計算に使用する機器やソフトウエア類は既にあるものを用いることができた。これより、予定通り2023年度に筋骨格モデル機構解析システムを購入,旅費(研究協力者との打ち合わせ、調査、学会講演会参加)、論文校正・投稿料として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)