2023 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド全身力覚提示スーツによるトレーニングに必要な力覚提示要素の解明
Project/Area Number |
22K04030
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
小柳 健一 富山県立大学, 工学部, 教授 (30335377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 健一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80438233)
木村 佳記 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (00571829)
木谷 尚美 富山県立大学, 看護学部, 教授 (50350806)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 力覚提示 / 機能性材料 / トレーニング / ハイブリッドシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度目は,初年度に引き続き,力覚提示全身スーツの下半身に力覚を提示するパッシブ要素の設計を行った.初年度にパッシブ要素であるElectro-Adhesive Gel(EAG)の面積を求めた.EAGは,電場を印加すると表面の見かけの摩擦係数が増大し,せん断抵抗を発現するため,制動要素に使用できる.これを踏まえ,膝関節の運動に対して制動を加えるEAGの配置構造を具体的に設計しモックアップを製作した.すると,腕に比べ脚の力が大きいこともあって,EAGが制動力を発生させると,土台となるスーツ部分が身体上で変形し滑るため,身体に力が伝達されないことが分かった.そこで,身体に接触する部位に滑りが生じにくい新素材を用いることで,解決を図った.
一方,アクティブ要素には,Electro-Hydro-Dynamics Fluid(EHD)アクチュエータを用いる予定である.これは高電圧を印加することで流動圧力を発生する機能性材料であり,専用に設計した電極を有する.本年度は電極を力覚提示スーツに設置することを念頭に,具体的な電極の流路への挿入方法や形状を検討した. また,アクティブ要素にはオリジナルの空気圧アクチュエータを使うことも検討している.本年度は,グローブ型デバイスにEAGブレーキと共に組込み,その応答性を検証した.EAGの方が応答が早いため,先に空気圧アクチュエータを賦活するアルゴリズムを考案し,良好な成果を得た.ただ,空気圧アクチュエータの方に種々の高速化の工夫をしたところ,あまりEAGと変わらない応答性を得られたので,特別なアルゴリズムを使用しなくとも,良好な力覚提示が行える可能性がある.
さらに,看護教育におけるモーションデータの取得のため,車椅子と固定椅子間の移乗支援動作を対象とし,モーションキャプチャシステムを用いて様々な姿勢における関節座標等を記録した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初目的は,力覚提示全身スーツのパッシブ要素部分を完成させることであった.しかし,EAGブレーキを配置する土台となるスーツ部分という,想定していなかった部分での不具合があったため,研究が遅れ製作には至らなかった.また,EHD流体アクチュエータ要素も,安定な電極の設置手法の解明に時間を要している. 一方,空気圧アクチュエータとEAGブレーキによるハイブリッド力覚提示の試行は成功しており,全体としては予定した程度の進捗状況である. また,モーションキャプチャシステムを用いて,看護教育の移乗支援動作における全身のモーションデータを,十分な姿勢のバリエーションにおいて取得できた. 全体を通して,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,EAGを用いたパッシブ要素において,力覚提示全身スーツを完成させる.簡単な特性試験により,動作を確認する.また,水泳レースゲームを実装し融合させ,効果を予備的に検証する. EHD流体アクチュエータは,全身各部に提示すべき力から,各部の電極段数やセット数を確定させる. 初年度及び2年度目に取得したモーションデータを活用するため,2年度目に購入したVRコンテンツ歩行サポートコントローラを用いたアプリケーションを開発し,力覚提示要素の有無によるトレーニング効果の違いを,実験的に検証する.
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Causes of Carryover |
ハードウェア全体の構築が遅れたことと,モーションデータの取得に研究分担者が新たな費用を要しなかったために次年度使用額が生じた.翌年度は検証実験を行うため,ハードウェアの完成や実験協力者への謝礼により,有効に活用する.
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Research Products
(3 results)