2023 Fiscal Year Research-status Report
アクチュエータの冗長性を活用した柔軟マニピュレータの省エネ高速位置決め制御の実現
Project/Area Number |
22K04037
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
阿部 晶 旭川工業高等専門学校, システム制御情報工学科, 教授 (30313729)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 柔軟マニピュレータ / 圧電フィルム / 高速位置決め / フィードフォワード制御 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績は以下のとおりである. 長さ510mm,幅65mm,厚さ1mmの真鍮製の板の片側に圧電フィルムを貼付し,これを柔軟マニピュレータとして扱った.なお,アクチュエータとして活用する圧電フィルムとしては,柔軟な性質を有するMacro Fiber Composite (MFC)を使用した.理論解析に基づくマニピュレータの1次振動モードに関する運動方程式のパラメータを正確に把握するために,実機のマニピュレータを旋回さて変位を計測する同定実験を実施した.そして,マニピュレータの旋回角軌道の最適化から位置決め後の残留振動を抑制するシミュレーションを実施した.この妥当性を検証するために,実機を用いた実験を行い,シミュレーションと同様に残留振動が抑制されることを確認した.一方,位置決め時間を短縮すると予想されたように1次振動モードは抑制されるものの2次振動モードが発生した. この2次振動モードを抑制するために,マニピュレータ旋回軌道とMFCの入力電圧の同時最適化を試みた.この試みのために,柔軟マニピュレータに及ぼすMFCの特性を正確に把握するために同定実験を実施した.そして,シミュレーションを実施し,2つのアクチュエータの同時最適化から位置決め後の残留振動が抑制されることを確認した.次いで,モデル実験を実施し,旋回角の最適化のみでは2次振動モードが発生する位置決め時間においても,2次振動モードが発生せず残留振動が抑制されることを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マニピュレータの旋回角軌道最適化によるフィードフォワード制御では,1次振動は抑制されるものの高速位置決め制御において2次振動モードが発生してしまう.一方,旋回角軌道とMFCの入力電圧の同時最適化では,高速位置決め制御においても1次及び2次振動モードを抑制することが可能となった.ゆえに,MFCが高速位置決め制御に有効であることを明らかとした.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では,旋回角軌道と圧電フィルムの入力電圧の同時最適化から高速位置決め制御における制振性能と駆動エネルギーの関係を明らかとする.そして,サーボモータ単体駆動では成し得ない圧電フィルムを活用した省エネルギー高速位置決め制御法の確立を目指す.特に,サーボモータと圧電フィルムの2つのアクチュエータの動作タイミングに着目してシミュレーション並びに実験を推し進め,この目標の達成を試みる.
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Causes of Carryover |
実験が円滑に進んで期待通りの研究成果が得られ,実験に関わる人件費が節約されたためである.繰越額は次年度の消耗品購入や,実験を円滑に進めるための人件費・謝金等に使用する予定である.
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