2023 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギーに適用可能なGFM型コンバータの理論開発による電力系統の安定化
Project/Area Number |
22K04040
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河辺 賢一 東京工業大学, 工学院, 准教授 (60634061)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 電力システム / 電力変換器 / 蓄電池 / 再生可能エネルギー / 安定化制御 / 風力発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンバータ(交流と直流の間の変換を行う装置)を介して電力系統に接続される再生可能エネルギー(再エネ)の導入が進み,火力発電等で用いられる同期発電機の運転台数が減少すると,電源事故時に周波数低下の速度や幅が大きくなることが懸念される。そこで本研究では,従来よりも高い周波数安定化効果が期待されるGrid-Forming(GFM)コンバータに着目し,蓄電池や再エネに適用可能なGFMコンバータの新たな制御法の開発に取り組んでいる。 2023年度は,2022年度に開発した蓄電池に適用可能なGFMコンバータの制御法(可変ゲイン制御)について,シミュレーションにより模擬した多様な事故シナリオに対して,周波数安定化を検証した。その結果,可変ゲイン制御で採用しているPI制御におけるワインドアップ現象が,周波数安定化効果を損ねる恐れがあることを明らかにした。そこで,可変ゲイン制御において,可変ゲインを乗じるタイミングを変更した改善手法を提案し,ワインドアップ現象の発生を防げることをシミュレーションにより示した。 また,可変ゲイン制御を風力発電用のコンバータに応用するために,文献調査に基づき風力発電のモデルを構築し,シミュレーションによってモデルの妥当性を検証した。シミュレーションでは,風力発電を平常時に最大電力点より低い点で運用することを前提とし,緊急時に平常時よりも大きな有効電力を出力することによって,風車の回転数を最大電力点に近づかせ,有効電力出力を永続的に増加できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンバータの背後リソースとの協調制御理論の開発に向けて,コンバータの背後リソースとして想定する風力発電システムのモデルを構築し,当該協調制御の基礎理論を構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,風力発電システムを対象としたコンバータの制御手法の開発に主に取り組んだ。今後は,開発した風力発電システムの制御手法の適用によって得られる電力系統の周波数安定化効果について,シミュレーションにより検証する。周波数低下幅やRoCoFを評価指標とし,評価指標を目標値に抑えるのに必要な蓄電池容量を算出することで,風力発電の出力制御によって得られる,蓄電池の必要容量の削減効果を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
予定していた国際会議への参加を取りやめたため。2024年度に、別の国際会議に論文を投稿し、参加予定である。
|
Research Products
(5 results)