2022 Fiscal Year Research-status Report
局所放電光と電界測定によるパールチェーン型トリー進展機構の定量的理解に関する研究
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22K04046
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井堀 春生 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70249861)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電気トリー / 部分放電 / 放電発光 / シリコーンゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
トリー管での放電発光に着目し、発光現象を定量的に評価することで、トリーの進展との関係を検討し、以下の結果を得た。 まず局所的な発光の観察を可能とするシステムを構築することができた。局所的な発光は複数の枝で選択的に観察されたことから、トリー先端部には残留電荷の存在が考えられる。トリーの先端部と針電極間の電位差により放電が起こると仮定すると、電位差の大きい枝先端とで放電が生じ、これにより先端部での残留電荷が緩和され、次に放電しなかった枝先端で電位差が大きいところが放電可能となり、放電路が移動したと考えられる。 ノイズの除去など画像の定量化には今後も検討する余地が残されているが、発光画像を用いて定量的な評価を行った。放電と進展の関係では、大きく進展した枝では発光量も大きくなり、進展距離と総発光量には正の相関関係があることが明らかとなった。 トリーの進展形態と発光には、材料の架橋度が大きく影響していることが明らかであり、その架橋度の定量的な評価が必要であることから、FTIRを用いることで、化学的な指標をもとにトリーの進展について検討することを始めた。 このほかにも本研究課題に関連して、シリコーンゲルの架橋度によるトリーの進展形態の違いを利用して絶縁耐力を向上させるための検討をおこなったり、トリー画像に機械学習を適用し、分類・判断・予測をおこなうことを検討したりした。 以上の結果は、電気学会A部門大会および電気学会全国大会の場で発表し、さらに査読付き論文投稿を2件おこない、1件は採録が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トリー進展の定量的な評価として放電発光に着目し、局所放電発光の観察を可能にし、発光画像の定量化によってトリー進展との関連性について実験結果からいくつかの知見が得られている点、シリコーンゲル中特有のトリー形態には架橋度が大きく影響していることから、FTIRによる化学的な評価も加えることを検討している点、トリー画像への機械学習の適用を検討している点など、着実に研究が進展しており、3件の学会発表をおこない、2件の論文投稿をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.局所放電発光観察中はトリーの進展を確認することができないが、発光量の大きい放電に限定すれば、トリーの進展と発光を同時に観察することができる可能性を示す結果が得られている。このことから、引き続き、発光を暗室、トリーの進展を明室にて観察することで局所放電発光とトリーの進展の関係を明らかにするとともに、同時観察による検討も開始する。 2.トリー画像に対する機械学習の有効性を示すことができた。このことから、機械学習も用いて発光画像やトリー画像を類し、発光と伸展の関係をAIを用いて検討することを試みる。 3.FTIRを用いたシリコーンゲルの分析結果から架橋度に起因するピークが判明している。このことを利用して、トリーの進展形態を化学的な観点から明らかにすることを試みる。
以上の研究によって得られた結果を学会発表および論文投稿によって公開する。
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Causes of Carryover |
サンプル作成のためのシリコーンゴムの納品が年度を超えることとなったことにより、次年度使用額が発生した。残額と合わせて、平成5年度初頭に試料等を入手し、引き続き実験をおこなうとともに、学会発表および論文投稿費用に当該研究費を充てる。
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