2023 Fiscal Year Research-status Report
レーザーを用いたポリマーがいしの非接触・非破壊劣化診断技術の開発
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22K04064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 隆 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (60371283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 祐嗣 一般財団法人電力中央研究所, グリッドイノベーション研究本部, 上席研究員 (10371296)
本間 宏也 一般財団法人電力中央研究所, グリッドイノベーション研究本部, 上席研究員 (40371562)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レーザー / プラズマ / 分光 / ポリマー / がいし / 劣化診断 / 遠隔計測 / 電力設備 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)を用いたがいしの非接触・非破壊劣化診断技術の開発に関して、以下の結果を得た。 (1)可搬型LIBS装置の開発:2022年度に開発した可搬型LIBS装置を改良した。レーザーヘッドと全ての光学素子を300 mm×600 mmのアルミカバー付きのブレッドボード上に搭載した。受光系には小型分光器を用い、これまで用いてきたICCDカメラは使用しなかった。また、測定ターゲット上のプラズマ発光は、レーザーの集光に用いた同じレンズで集光した。この完全同軸な光学系を用いることにより、測定点が移動した時でもレーザー送信系と受光系の光軸ずれがなく、精度良く計測することが可能である。以上により、小型で可搬性に富み、屋外での計測が可能な堅牢性の高いLIBS装置を実現した。 (2)ダブルパルスLIBSによる測定感度の向上:ナノ秒とフェムト秒のレーザーパルスを用いたダブルパルスLIBSにより、Alの発光強度が増強することを示した。フェムト秒パルスを照射した後にナノ秒パルスを照射した場合は、信号強度の増強は観測されなかったが、ナノ秒パルス照射後にフェムト秒パルスを照射した場合は、信号強度の増大が観測された。ナノ秒パルス照射により誘起されるプラズマの寿命は、フェムト秒パルスによるプラズマの寿命に比べて長いため、フェムト秒パルスを照射した時にターゲット上に残存しているナノ秒パルス誘起プラズマにより、Alの発光強度が増強されたと考えられる。本手法は、測定感度の向上に有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に実施予定の研究項目の中で、「可搬型装置の開発と現場計測における実証」に関しては、順調な成果を得たが、「CF-LIBSによる成分比の計測の最適化」、「PLS回帰を用いた劣化診断技術の開発」に関しては、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した可搬型LIBS装置の性能を評価すると共に、CF-LIBSやPLS回帰の本技術への適用可能性を評価する。
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Causes of Carryover |
2023年度においては、主に、実験に必要な光学素子やホルダー等の購入を行ったが、わずかに余剰が生じた。2024年度においては、進捗が遅れている、PLS回帰を用いたLIBS計測技術の開発等に使用する予定である。
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