2022 Fiscal Year Research-status Report
高温超伝導線を用いた超伝導コンデンサによる全超伝導共振回路の開発
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22K04065
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小川 純 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60377182)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高温超伝導共振回路 / 交流損失 / 電磁界解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,解析モデルの作成と交流損失評価のための準備を行いおおむね計画通り進んでいる。 有限要素法の解析ソフトComsolによる数値実験により,ソレノイドコイル形状とトロイダルコイル形状におけるそれぞれの交流損失の解析モデルを作成し,各箇所における交流損失の導出を行った。超電導共振器内部には超伝導コンデンサとしての特性も有していることから,電極間で電荷が乗り移る過程で電極内に電流分布が存在しこれに対する,各所における交流損失の導出が必要となる。ソレノイドコイルの場合には,コイルの上端と下端で損失が増大しこれにより共振器としての性能を低下させる。トロイダル状の場合には,端部がないため,ソレノイドコイルと比べ損失が減少し高性能な共振器が期待できることが示された。また,共振周波数を決定するためのインダクタンスとキャパシタンスの決定が必要であることから,これらを簡易的に導出するための計算モデルを開発した。 実験では,パンケーキコイル状の超電導共振器を評価するために,超電導コイルの蒸発法による簡易測定装置を開発し,ダミーコイルを作成し超電導コイルの交流損失特性の評価を実施した。この結果,交流損失が周波数に対し比例で増加することからヒステリシス的な損失特性であることが確認でき,超電導線の損失は一般的にヒステリシス損失が主となることから正確に評価できることが確認できた。これにより超電導共振回路における損失評価のための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限要素法による数値実験のための計算法の開発は順調に行われており,R5年度に開催されるMagnet technologyの国際会議にて研究発表を行う予定である。蒸発法による交流損失測定装置の評価は実施済みでありパンケーキコイル状のサンプルであれば特に問題なく実験を行うことができる状態となったため順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析においてはトロイダル型で線材形状が変化したときの損失の導出を順次実施していき任意の電磁条件における知見を得る。共振周波数と形状の関係を明確化し電磁条件とQ値の関係を明確化する予定である。 実験ではより高精度な測定を実施するために,プログラムによる実験機器の制御を実施し,通電時間等の高精度化を行う。また,流量計を2種類使うことにより流量により使い分け測定を実施する。ダブルパンケーキ状の超電導共振器を作成し,この装置を用い交流損失の測定を実施する。この実験結果と解析値を比較することにより損失特性評価の妥当性の検討を行う予定である。
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