2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K04087
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岡田 実 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (10252587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUONG QuangThang 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (40757811)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ワイヤレス給電 / 整合回路 / 走行中ワイヤレス給電 / MIMO / Sパラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
伝送線路の両端ポートおよび、複数の受電コイルから構成されるMIMO (Multiple Input Multiple Output)構成ワイヤレス給電システムを仮定し、その電力伝送効率の向上および漏洩電磁界の削減を動的に行う手法を確立することが本研究課題の目的である。従来は受電回路は受動回路素子を用いて共振及びインピーダンス整合を行う構成であった。しかし、この構成では、走行中給電のように時々刻々と結合回路の条件が変動する場合、この変動に追従してパラメータを変更することが困難であり、適応制御が難しいという問題があった。その問題を解決するため、受電側にも電源を配置し、インピーダンス不整合に伴う反射波をキャンセルすることで、動的に適応制御することが可能なMIMOワイヤレス給電システムを構成することを目指す。前年度はシンプルな平行二線伝送線路による簡単なモデルによる解析であったが、本年度は、より現実に近いモデルとして、多数の送信コイルを接続した「メタ伝送線路」および2つのポートを持つ受電コイルを仮定した。多数の送信コイルを接続して、一つの電源から複数の送信コイルに電力を供給する形式は、現在検討されている低周波走行中給電で用いられている形状であり、現実的なモデルとなっている。このメタ伝送線路上の反射波成分を打ち消すように移動体上の漏洩電磁界キャンセル用電源を制御した。その結果、提案手法を用いることで、共振回路が不要で、電力伝送効率の改善効果があることを明らかにした。また、同様に漏洩電磁界の大幅な削減が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現実のモデルに近い送受電結合回路モデルを電磁界シミュレータ上に構築し、その上で、提案方式を用いることで大幅に伝送効率向上と漏洩電磁界削減効果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの検討を踏まえ、複数の送信コイルを縦続接続したメタ伝送線路の小規模実験装置を作成し、移動体受電コイルに配置した電源を制御することで、漏洩電磁界の削減及び伝送効率の工場が可能であることを実験的に示す。また、反射波電力をモニタし、移動体側電源を適応制御する手法を検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた実験装置の精度が、今年度行ったシミュレーションの結果、想定したものよりも低いもので十分であることがわかり、低コストで実験を遂行することができた。本年度は、この分の予算を用いて、送信コイル個数を増やしてより大規模な実験を行うことに資する予定である。このことにより、より現実的なモデルに基づく検討が可能となる。
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