2022 Fiscal Year Research-status Report
Channel Sounding and Channel Simulation Techniques of Doubly Selective Channel Environments for Underwater Acoustic Communications
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22K04095
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
久保 博嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (40633243)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 通信方式 / 変復調 / 伝搬解析 / 水中音響通信 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水中音響通信において問題となる二重選択性伝搬環境を,計測・模擬する技術を検討する.水中音響通信では通信技術と同様,厳しい二重選択性に対応可能な伝搬路計測・模擬技術の確立が必須となる.本研究の狙いは,二重選択性が厳しい水中音響通信にて伝搬路を計測し,この計測値を用いて伝搬路を模擬する技術を確立することである.具体的な数値目標は,従来と比較して十倍以上厳しい二重選択性伝搬環境への対応を可能とすることである.本研究では,伝搬路計測を,瞬時ドップラーシフト計測とインパルス応答の時間変動計測の2ステップで実施し,これら計測結果をもとに伝送路を模擬することで,上記数値目標を達成する. 本研究では,厳しい二重選択性環境となる移動時の水中音響通信の研究開発において,(a)二重選択性伝搬路の計測(チャネルサウンダ),(b)海洋移動環境の伝搬路模擬(チャネルシミュレータ),の2点に関して研究を実施する.ここで,上記(a)は,(a1)瞬時ドップラーシフトの計測と(a2)時変インパルス応答の計測という2つの課題に分割して議論する. 令和4年度は,上記(a1)に関して,瞬時ドップラーシフトの計測の研究を実施した.具体的には,周波数誤差推定を開ループ構成として高精度に周波数誤差を推定し,カバレッジが広い推定器から推定精度の高い推定器を複数個準備し,これらの推定出力を合成した.その結果,本研究成果により,広い周波数カバレッジと高い推定精度を両立できることを確認した.さらに,上記(a2)の時変インパルス応答の計測の検討にも着手した. なお,上記成果にもとづき,学会発表を9件実施した(内国際会議は1件,招待講演は1件)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進捗している.令和4年度成果の瞬時ドップラーシフトの計測の研究は,今後も継続して検討を実施する.他方,令和5年度成果予定の時変インパルス応答の計測の検討にも着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は,上記(a2)のために,リサンプラ補正を行うチャネルサウンダの研究を実施する.本研究にて従来比十倍以上の二重選択性耐性を実現する.具体的には,③瞬時ドップラーのリサンプラ補正と④自動並列リサンプラ選択に関する研究を実施する.上記③は,時間的に変動する瞬時ドップラーシフトにより,周波数誤差推定精度が劣化するという課題を解決するものである.上記③では,短時間多重開ループ周波数誤差推定にて計測した瞬時ドップラーシフトに従って,受信信号に対してリサンプラ補正を行うことで瞬時ドップラーシフトを受信信号から除去する.上記④は,各パスのドップラーシフトが異なることで残留ドップラーシフトが増大し,周波数誤差推定精度が劣化するという課題を解決するものである.上記④では,複数のリサンプルパターンを前もって準備し,最も適切なリサンプルパターンを選択することにより,正しくインパルス応答を計測する. 令和6年度は,上記(b)のために,チャネルサウンダを活用した海洋移動環境シミュレータ構築のための研究を実施する.本研究により,チャネルシミュレータにて実際の海洋移動環境に近い性能評価が可能なことを確認する.具体的には,⑤海洋環境オフラインチャネルサウンダと⑥海洋移動環境チャネルシミュレータに関する研究を実施する.上記⑤では,実海洋環境で実験計測することで,海洋移動環境チャネルパラメータを抽出する.上記⑥では,海洋移動環境チャネルパラメータをもとに,計算機にて海洋移動環境を模擬するチャネルシミュレータを作成する.
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Causes of Carryover |
(理由)国際会議の開催が国内になったこと,令和5年度の海洋移動環境実験費用計上のため,当初令和4年度用に想定していた経常費用を抑えたため,差異が発生した. (使用計画)令和5年度は,令和4年度の研究成果を海洋移動環境実験にて検証する予定である.ゆえに,この費用差異は,令和5年度の海洋移動環境実験費用で吸収する予定である.
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Research Products
(10 results)