2022 Fiscal Year Research-status Report
モード選択スイッチの実現に向けた周波数領域光MIMOの提案
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22K04099
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
後藤 優太 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所フォトニックICT研究センター, 研究員 (90827057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 淳 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (40224068)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 空間分割多重 / モード分割多重 / 光ネットワーク / 空間光変調器 / ホログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度における研究目的は以下の二つであった. 1.周波数領域光MIMOの実証実験(研究代表者が主に行う) 2.体積ホログラムによる回折格子の高分解能化(研究分担者が主に行う) 本項目に関して,本年度は以下の内容を実施した. まず,周波数領域光MIMOの実証実験に向けて,マルチモードファイバ(MMF)の伝達関数の測定実験を行った.結果としてモード分離器とコヒーレントレシーバを接続するためのシングルモード光ファイバ内で光位相の揺らぎが発生しMMFの伝達関数が正しく測定できないことが明らかになった.したがって,周波数領域光MIMOの原理実証実験も同様に各機器を接続するシングルモード光ファイバ内で光位相の揺らぎによって正しく動作しないことが予測される.そこで,モード分離器,回折格子,空間光変調器(SLM)およびコヒーレントレシーバを光ファイバではなく,位相揺らぎの少ない空間光学系によって接続する新たな実験系を構築する.予備実験として,光信号を空間光学系に入射してプリズム型のビームスプリッタで分離し再度結合してからコヒーレントレシーバで受信してエラーなしに光信号を受信できることを確認した.次に,回折格子の高分解能化に向けた検討を行った.回折格子の高分解能化することでSLMにおいてより細かい周波数分解能で光信号の補償が可能となるが,回折格子の高分解能化をせずに,入射光をハーフミラーで二光路に分岐し,2つのビームSLM上の異なる位置で変調することで疑似的に細かい周波数分解能で光信号の補償を可能とする手法を新たに提案した.また,ここまでに得られた研究成果を国内学会2件にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り,実証実験において光ファイバの位相揺らぎによる問題が明らかになり,空間光学系での実験系構築が必要となり,当初の計画に対して遅れが生じている.しかしながら,空間光学系での予備実験では良好な結果が得られており,十分に挽回が可能である.また,回折格子の高分解能化に関してはおおむね計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
空間光学系による実験系を早急に完成させマルチモードファイバの伝達関数の測定実験及び周波数領域光MIMOの実証実験を進めて,本手法の全体的な動作確認実験を完了させる.その後は当初の計画に沿って,より細かい周波数分解能での光信号の補償を実証する.このとき,周波数分解能を細かくすることで,どの程度までMMFを長距離化できるかを実験的に確認する.さらに,周波数領域光MIMOを用いたモード選択スイッチの実験及びモードによるネットワーク実験を行い,最終的にモード数に応じたスイッチング容量(10モードの場合は最大で10倍)が得られることを確認する.また,得られた成果を学術論文誌及び国際学会にて発表する.
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Causes of Carryover |
研究業績の概要で述べた通り,実証実験において光ファイバの位相揺らぎによる問題が明らかになり,空間光学系での実験系構築が必要となった.そのため,実験計画および実験用部材が変更となり次年度使用額が生じた.次年度は主に空間光学系に必要な追加部品の調達を行う.
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Research Products
(4 results)