2023 Fiscal Year Research-status Report
Highly efficient channel estimation by multi-dimensional signal processing for massive connectivity
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22K04101
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
丸田 一輝 東京理科大学, 工学部電気工学科, 准教授 (30801170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 悠太 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20711229)
宗 秀哉 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (70873868)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Massive MIMO / 多素子アンテナ / ビームフォーミング / ビームステアリング / チャネル推定 / OFDM / サブキャリア / プリコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、多素子アンテナによるビームフォーミングの適用を前提としたチャネル推定に向けた検討を実施した。直交周波数分割多重(OFDM)伝送を想定したとき、チャネル推定以前のステップとしてタイミング同期が必要であるが、ビーム方向が適切に通信対象に向けられていないと正確なタイミング同期を実施できない。さらに、多数の端末に対して適切なビーム方向を決定するためには、ビーム探索を高速に行う必要がある。
そこで、我々はOFDMシンボル内で高速なビーム切り替えを行うアプローチを提案した。シミュレーションによりビーム方向を特定可能であることは確認したが、ビーム切り替えによる信号の不連続性に起因して対域外漏洩が生じることが新たな課題となった。そこで、同期用OFDM信号において、サブキャリアを分散配置とすることによって時間領域での波形が1シンボル内に繰り返し発生する現象を利用した手法を提案した。サブキャリア間隔をN個おきとすることにより、1/Nの長さの時間波形がN個繰り返し現れる。当該短縮された波形ごとにビームを切り替えることで、信号の不連続性を解消し、帯域外漏洩を抑圧できることを確認した。
本アプローチは、前年度に取り組んだHigh-Time Resolution Carrier Interferometry (HTRCI) と同様の考え方に基づいており、ビーム方向の特定後に本手法を組み合わせた効率的なチャネル推定も実施可能になると期待できる。並行して、Massive MIMOシステムにおけるプリコーディングの簡易化アルゴリズムや、移動環境に耐性のあるプリコーディング方式等を検討している。これらにチャネル推定の誤差モデルを導入することで、提案するチャネル推定精度向上手法の有効性を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初に、以下の検討課題を設定した。① 空間・周波数領域信号処理、② 電力・時間領域信号処理、③ システムレベルシミュレーション
それぞれについて、以下のように一定の進捗を得ている。 ①ユーザごとに得られる周波数領域の伝搬路状態情報(CSI)に基づき、最適な無線リソースを割り当てるための新たな手法を提案した。OFDMAを想定し、サブキャリアごとのCSI強度を画像として可視化し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により最適なユーザとサブキャリアの割り当てを出力する。これにより、複雑な組み合わせ問題となる無線リソース割り当てを効率的に実現可能であることを明らかにした。②チャネル推定以前に必要となるビーム方向の探索手法について検討を進めた。1OFDMシンボル内で高速にビームステアリングを行うことによる探索手法を提案した。上記手法により、1OFDMシンボル内のビーム方向切り替えによる不連続性から帯域外漏洩が生じる。その対策手法として、分散サブキャリア配置を提案し、シミュレーションによりその有効性を確認した。また、チャネル推定に依らない、位置情報に基づくビーム方向制御手法についての検討に着手した。所定の間隔で所得可能な位置情報等の情報に基づき、簡易なアルゴリズムにより補間する手法を提案し、高精度なビーム追従が実現可能であることを明らかにした。③チャネル推定の評価のためには、より詳細なモデルが必要となる。そこで当該年度は、ユーザやアンテナ間の空間的な相関を模擬可能とするクラスタモデルをシミュレーションに実装した。さらに、交通環境における特定の伝搬パスをより詳細に表現する手法としてレイトレースを導入し、時間的な連続性を保ちながら変化するモデルを構築した。両者のモデルを併せることで、実環境を想定したチャネル推定ならびにMassive MIMO方式の評価が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな課題から解決策の提案に至るまで、一定の成果が得られたと考える。計画当初の項目を推進するとともに継続的に発展的な検討にも着手する。多素子アンテナによるビームフォーミングを中心とした方式には様々な展開が考えられ、移動環境や交通システム、また水中通信への応用などを進めながら新たな課題の着想にも取り組む。チャネル推定技術はその基盤となる方式であることから、継続して検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたワークステーション等は、配分額の変更に伴い購入品の変更、取りやめなど計画変更を余儀なくされた。 設備機器の共用・工面することにより一定の研究を遂行できたことから未使用額が生じる結果となった。 次年度以降への繰り越しにより環境整備を検討するとともに、成果発表のための費用など有効に活用する。
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