2023 Fiscal Year Research-status Report
高濃度水蒸気の高効率利用のための水蒸気発生法と計測法に関する研究
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22K04127
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊與田 浩志 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10264798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恒 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (20356372)
増田 勇人 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 湿度標準 / 過熱水蒸気 / 飽和槽 / バブリング / TDLAS / 高露点 / 小型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大気圧の過熱水蒸気,あるいは,高濃度で水蒸気が含まれている空気の利用技術向上を目的としており,高濃度で水蒸気が含まれている気体の水蒸気濃度(湿度)を測定する方法,並びに,その測定精度を検証するための技術開発を行うものである. 初年度つづいて,湿度計の測定精度の検証に使用する標準ガス(標準湿度)の発生装置の改良と,波長可変半導体レーザ吸収分光法(TDLAS)を用いた湿度計測法における光学系および信号処理方法の改良を行った. 本研究では,露点温度95℃以上を扱うために,報告者らが提案している過熱水蒸気混合法による発生装置の開発を進めている.これまでの研究開発で,同方法は露点温度が80℃以上で安定した湿度を発生させることができることを示した.また,低い露点温度では流量計の測定精度が発生露点に直接影響するため,レンジの異なる2つの流量計を用いる工夫をする一方,装置の構造の複雑化を避け使いやすさも維持するため,露点温度60℃以下では,ボイラをバブリング装置(飽和槽)と兼用する新たな方法を提案してきた.令和5年度は,令和5年度の後半に研究室の移転(引っ越し作業)が行われるため,まず,湿度発生装置を,小型で運搬も行いやすい装置として改良をすすめた.令和6年4月に移転先での同装置の試験的な立ち上げ作業と精度評価を行った結果,一部センサの故障がみつかったが,概ね移転前と同等の精度で湿度が発生できていることを確認した.一連の作業の中で,装置運搬における課題についても明確化することができた.また,速報的ではあるが,高露点域でTDLASによる湿度測定が移転前と同等の精度で測定できることも確認した.移転に伴い実験が行えない間は,TDLASの信号処理の方法,装置構造の改良について検討しながら,次年度にむけて湿度発生装置・湿度測定装置ともに改良するための指針を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は大学統合に伴うキャンパス移転が実施された.スケジュールや実験室の整備が移転の直前まで具体化できないことが年度初めに把握できたために,装置改良は移転に向けた対応を中心に計画変更し,湿度測定に用いるキャビティの改良・予備試験は移転後に実施することにしたため,やや研究計画に変更が生じ学会発表等は控えざるを得ない状況となった.しかしながら,それに代わる知見も得られたために,全体としては研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,露点温度0℃~100℃までの湿度発生が可能な装置の開発再開し,また,TDLASによる湿度測定の広域化とその検証を目指す.当初,減圧による低露点域の検証方を検討していたが新たに製作したテストチャンバー部分の密閉性が問題になる可能性があることから,予備的な検討として,冷却による低湿度域の湿度発生およびTDLASによる測定検証を実施することを予定している. また,昨年度の研究成果から,露点(湿度)域に応じてTDLASの信号処理の条件を変更することが必要であること,かつ,信号の制御と処理を自動化できる可能性もあることが判明したため,TDLAS測定に関しては,新たな制御アルゴリズムの導入と信号処理系の工夫を行うことを,電子回路と処理プログラムの開発とともに予定している.また,開発中のTDLAS装置,湿度の発生装置(校正装置)ともに小型でかつ0℃以下の低温から200℃以上の高温での測定が原理的に可能であることから,冒頭の広い露点域に加えて,広い温度域での湿度測定の実証実験も計画している.
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Causes of Carryover |
キャンパス移転に伴い,一部研究計画を変更したため.
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