2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Measurement Method of Early Caries (Demineralization) by Radio Wave Applications and Proposal of a "Tooth" Numerical Calculation Model
Project/Area Number |
22K04139
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松永 真由美 静岡大学, 工学部, 准教授 (30325360)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電磁波計測 / ミリ波共振 / 励振プローブ / 初期虫歯 / 表層下脱灰 / アンテナ / 電波伝搬 / ミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電波の共振現象を用いて表層下脱灰の脱灰度を定量的に計測する手法を提案することを目的としている。 今年度は、昨年度構築した「シミュレーションに必要な歯の数値計算モデル」を改良して用い、「計測に有効な共振および励振方法」を数値シミュレーションにより検討を行った。具体的には、共振モードにより共振が起こる部位が変化することを確認した。されに、脱灰の程度と脱灰範囲についても共振モードによって推定できることを確認した。また、効率の良い励振をもたらすプローブアンテナについても検討を行った。励振方法の検討においては、これまで行ってきたエナメル層や象牙層、そして脱灰部位の複素誘電率の調査に加え、歯を構成するその他の部位、例えば、歯髄や歯肉などの情報収集も行った。調査結果および、数値計算モデルへの反映により、これらは初期虫歯が形成されるエナメル層や象牙層、そして脱灰化した部位に比べ、誘電体損失の値が高く、そのため、これらの損失を励振時に活用することを試みた。その結果、歯髄等の構造をより現実的なものとすることが有効な計測に必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に準じて順調に研究が進展している。以下に、研究遂行状況の具体的説明および遂行中に明確になった課題について説明する。 (1)まず、エナメル層や象牙層だけでなく、歯髄や歯肉を構成する要素の複素誘電率情報の調査および検討を行った。これらについての詳細な実験データはほとんど得られず、血液等に関する調査結果と、歯髄や歯肉の主な構成要素から推定する方法で検討を行った。現在の研究体制ではこれ以上の検討を進めることが困難であること、そして、これらの情報が実用化において重要であることが分かった。そのため、本課題終了後に提案予定の実用化課題において更なる検討を行うこととした。 (2)共振モードや励振構造の検討が可能な、歯の数値計算モデルの構築を行う事ができた。また、提案している励振手法により、初期虫歯の発生頻度が高い部位において効率よく励振されることができた。しかし、(1)でも述べた通り、実際の歯は損失性の高い歯髄や歯肉に囲まれている。そこで、これらを含めた構造においてより効果的に励振する方法の検討を続けている。 (3)歯髄や歯肉も含めた歯の数値計算モデルを用いて、提案しているプローブアンテナの改良を行った。歯髄や歯肉に含まれる損失を計測に活かす方法の検討を主に行っている。これにより実用化に近い計測方法の提案が可能になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初予定していたとおり、まず歯の物理ファントムを製作し、今年度までに提案した測定手法および励振手法の有効性を実証実験により示す。更に、実証実験の結果を、提案している数値計算モデルや提案計測手法へフィードバックし、電磁波計測の検討に有効な「歯」数値計算モデル構築を完了させ、広く公表する。更に、その数値計算モデルの活用事例として、初期虫歯の電波応用計測法を確立し実証実験によりその有効性を示す。国際会議等を通じて広くその有効性と意義を伝え、多くの利用者を募ると共に、歯学部関係者らと連携して実用化へ向けた研究活動を推進する。
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Causes of Carryover |
今年度は調査とシミュレーションを主に行った。また、プローブやファントムの検討は現有の加工機や測定器と材料を用いて行ったため、物品費の支出がなかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、自作ファントムや実証実験のためのプローブ作成などの物品費として使用する計画である。
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