2022 Fiscal Year Research-status Report
複数の落下障害物を回避するためのドローンの実時間最適制御アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22K04162
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
原田 正範 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (70546142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (80582907)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害物回避 / 自律飛行 / ドローン / 最適制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、火山防災へのドローンの適用に焦点をあて、自律飛行中のドローンが、飛散する噴石など機体上方から飛来する複数の障害物を検知した際に、的確に衝突回避をして与えられたタスクの継続を可能とするための実時間障害物回避技術の確立を目指すことを目的としている。 本研究で最重要な位置付けにある、3次元空間内において、複数の落下障害物を回避することが可能な、ドローンの実時間最適制御アルゴリズムとして最適軌道生成手法があり、そのために必要な技術として主に以下の研究を実施した。 1.最適回避軌道生成に用いるソフトウエアとして逐次凸最適化を用いたアルゴリズムを検討し、プログラムコード化を行って数値シミュレーションにより検証した。その際にドローンや障害物の形状を考慮した制約条件の設定をするため、状態誘因制約法を導入した。その結果、安全な障害物回避を行う軌道生成ができることが示され、その成果を国際学会で発表した。 2.対象とする障害物は複数となるため、最適化計算において個別に制約条件として扱うと計算負荷が高くなる。そのため、最適化計算を行う前にクラスタリング技術により障害物を少数のグループ分けを行い、各グループを回避させるアルゴリズムを導入した。その結果、衝突の危険性及び計算負荷の低減ができる結果が得られ、その成果を国際学会で発表した。 3.対象とする噴石について資料収集を行い、数値シミュレーションで用いる落下障害物の数学モデルを構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実時間最適制御アルゴリズムで用いる最適軌道生成のためのソフトウエア開発を行い、課題の抽出と対応方法を検討している。 1.ドローンの複数障害物回避のための実時間最適制御アルゴリズムの開発は、2次元平面内の飛行において、擬スペクトル法及び逐次凸最適化手法の2つの手法を用いて最適軌道の生成に成功している。その際の障害物回避の制約条件設定には状態誘因制約法を用いたが、少数の円形の障害物に限定されていた。しかし、ドローンの形状と複数障害物のクラスタリングによるグループ化された形状を考慮する場合には、設定が困難となることが判明した。そのため、他の制約方法について検討して有用性の検証を行っている。 2.落下障害物である噴石について資料収集を行い、数値シミュレーションで用いる数学モデルと落下位置の予測方法について検討している。初期段階では解析を容易にするため垂直落下のみを考え、観測値より最小自乗法及び拡張カルマンフィルタより運動を推定して落下位置の予測を行っている。その情報とドローンに将来位置との相対関係より障害物回避軌道の生成が行えるかを検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果を基に以下の4つについて研究を実施する。 1.ドローンの複数障害物回避のための実時間最適制御アルゴリズムの開発については、3次元空間内における最適軌道生成に拡張を行う。現在までに2次元平面内の飛行において、逐次凸最適化手法を用いて最適軌道の生成に成功している。次の段階として、実際の状況に対応した3次元空間内の最適軌道生成について検証する。その際の障害物回避の制約条件には、ドローンの形状と複数障害物のクラスタリングによるグループ化を行った形状を考える必要があるが、当初検討していた状態誘因制約法では設定が困難となることが判明したため新たな手法を開発する。 2.得られた最適軌道に適切に追従する追従制御手法について検討する。特に、反復計算が不要な深層学習を用いた非線形最適フィードバック手法を適用し、与えられた最適軌道への追従を行う数値シミュレーションにより有用性の検証を行う。 3.想定している落下障害物の噴石について、実際の飛散状況データを解析して数値シミュレーションで用いる数学モデルに反映させる必要がある。そのため、火山の現地調査を行い実際の噴石の形状、大きさ、飛散状況などのデータを収集する。 4.実機のドローンの飛行データを取得して、数値シミュレーションに用いる運動モデルの改良を行う。
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Causes of Carryover |
物品費により購入を予定していた実験用機材の選定において、所属機関の制約による購入制限及び取り扱い業者の制約を受け、購入可能な物品の再選定をする必要が生じ当該年度の内の要求が困難となった。現況で購入可能な実験機材の選定を進めており、翌年度分と合わせて購入を行う予定である。 旅費により計画していた国際学会出張は海外渡航の制約のためオンライン参加としたため未使用であったが、翌年度は制約が解除されたため使用予定である。
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