2022 Fiscal Year Research-status Report
機構・制御系統合化設計の高度化と次世代HDDへの応用
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22K04170
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
熱海 武憲 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70772052)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | メカトロニクス / 制御系設計 / ハードディスクドライブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した研究において,以下の成果が得られた. 【高性能ロバスト機構・制御系設計の可視化手法】①2入力1出力系の位置決め制御系においてアクチュエータにストローク制限がある場合についての検討を行った.その結果,RCBode plotのアルゴリズムを改良することにより,制御系に加わる外乱特性に応じて,アクチュエータが飽和する可能性のある周波数をコントローラの周波数応答上に可視化する手法を実現した.本手法を用いることにより,コントローラ設計者は可視化されたガイドラインに基づいてアクチュエータ飽和を避けるコントローラの設計を行うことが可能となる.②2自由度制御系におけるフィードバックコントローラに対してRCBode plotを用いた性能向上について研究を行った.目標軌道への追従誤差の周波数特性を重み関数とすることにより,可視化されたガイドラインに基づいてフィードバックコントローラを整形する手法を考案した.また,ロボットアームを用いた実験により,提案手法により設計されたフィードバックコントローラによって,目標軌道追従性能が改善されることを実証した. 【次世代HDDに必要な機構系および制御系の条件】①4段アクチュエータ系を有するHDDの磁気ヘッド位置決め制御系における外乱抑圧制御について検討を行った.ニアラインサーバとして利用される際に生じる外部振動が発生した場合,3段目のマイクロアクチュエータと4段目の熱アクチュエータのストローク制限が問題となる可能性があることを明らかにした.また,その問題を解決するために, 1段目のVCMと2段目のミリアクチュエータのみストロークを増大させるループ整形法をRCBode plot により実現し,その有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は5ヵ年計画となっており,2022年度は1年目に相当する.したがって,現時点において全体の研究計画の20%ほどの進捗があれば当初の計画通り であると言える.上記の「研究実績の概要」で述べた2022年度の成果: ・アクチュエータ飽和が存在する機構系特性に対してのRCBode plotの適用アルゴリズムを考案し,その有効性を実証した ・2自由度制御系の制御性能を向上可能とする制御系設計法をRCBode plotで実現し,その有効性を実証した ・4段アクチュエータHDDに対してアクチュエータ飽和を回避しつつ外乱抑圧性能を向上するループ整形法を考案し,その有効性を示した は,本研究全体の目標研究成果の約20%の到達点に相当すると考えられることから,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通りに進行する予定である.具体的には,以下の2点の達成を目指す. ・RCBode plotを計算する汎用的設計ツールを,精密メカトロニクス設計において広く普及している「MATLAB」上にて構築し,無償公開することでRCBode plotを用いた高度な「すり合わせ」技術が世の中で広く利用されることを目指す ・RCBode plotを用い,3段アクチュエータ系を用いたHDDにおける「位置決め制御性能と機構系特性(VCM系,ミリアクチュエータ系,およびマイクロアクチュエータ系)の関係」を明らかにする.また,3段アクチュエータ系の改良による制御性能の限界を明らかにする.
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Causes of Carryover |
学会参加に関する費用が予定していたよりも少なくなったため,次年度使用額が生じた.この次年度使用額は次年度の学会参加に関する費用として使用する計画である.
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