2022 Fiscal Year Research-status Report
Growth mechanism and thermoelectric conversion property of transition metal dichalcogenides thin films
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22K04181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
冨谷 茂隆 東京工業大学, 工学院, 特任教授 (40867016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 整 東京工業大学, 工学院, 教授 (80700153)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遷移金属ダイカルコゲナイド / 熱電変換 / 透過電子顕微鏡 / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)は、室温領域で高い熱電変換性能が期待されている。TMDC薄膜は、機械的剥離法や液相剥離法などにより良質なフレーク状の単結晶膜が得られているが、ウエハ面内に大面積で均一に形成することは困難である。RFスパッタ法は、汚染の懸念も少なく大面積で均一に成膜でき、汚染の懸念も少なく半導体プロセスへの整合性に適している。一方、スパッタ時に硫黄抜けによる化学量論比が不均衡になりやすいため、硫黄雰囲気下でアニール処理を施す必要がある。また、結晶粒径が小さく、低結晶性という課題がある。本研究では、RFスパッタ法によるTMDC薄膜において成膜過程や硫黄雰囲気下でのアニール処理等による構造変化をトレースし、その成膜・成長機構の解明を目的とした。併せて、その構造と熱物性・電気特性との相関を把握することもスコープとしている。そこで、1年目は、成膜機構の解明に向けて以下の知見を得た。① Moグリッドを用いた低レートスパッタ成膜法により、通常のスパッタ法に比べ、MoS2膜の結晶粒サイズの増大を確認し、化学量論組成に近づく。② スパッタによるアモルファス状MoS2膜は、アルゴン雰囲気下でのアニールにより結晶化し、ある一定の温度までアニール温度が高くなるにつれ、その結晶粒サイズが増大する。さらに、アモルファス状MoS2膜は結晶性MoS2膜に比べて、硫黄雰囲気下アニールにより、その結晶粒サイズが大きく、また、化学量論組成に近くなることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過電子顕微鏡法による平面薄膜の観察手法の構築、ラマン分光法による熱伝導率測定法の構築など順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、透過電子顕微鏡法によるMoS2膜の平面薄膜観察を行い、より微細な構造解析を行う。同時に、現在進めているラマン分光法による熱伝導測定法の立ち上げを完了し、構造と熱伝導率との相関等を調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度での結晶解析および熱伝導率測定用計算機の購入を見送り、次年度での購入を計画している。
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