2022 Fiscal Year Research-status Report
変調周期構造を持つマグノニック結晶のマグノン情報処理への応用
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22K04208
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
眞砂 卓史 福岡大学, 理学部, 教授 (50358058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 健司 福岡大学, 理学部, 助教 (00706864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スピン波 / マグノニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィボナッチ数列を利用した準周期マグノニック結晶について、マイクロマグネティックシミュレーションを行い、ミニバンドの形成や、異常な非相反性について詳しく調べた結果を論文にまとめた。スピン波分散関係から、予想される周期の1/3周期の特性が表れており、今後この理由について解明を進める。また、アンテナに周期構造をとりれる蛇行形状アンテナを用いて、特定の波数をもつスピン波を励起および検出する研究を行った。励起と検出で波数の異なる蛇行アンテナを用いた際の誘導電流により検出したスピン波の特性を実験とシミュレーションの両面から調査した。ここで、シミュレーションは有限要素法を用い、磁性体内の動的磁化の様子だけでなく、検出におけるアンテナの誘導電流を計算する技術を開発した。これまでは強磁性体内の動的磁化の解析結果をスピン波信号と考えていたが、蛇行アンテナでは検出時に波数制限が加わるので、従来手法では予想される信号を計算できない。新しいシミュレーション法によって、実験と同じ条件で得られるデータを取得することができ、実験結果と非常によい一致を得ることに成功した。励起において、シミュレーションではアンテナ本数がそれほど多くないことから、指定波数まわりのスピン波もサテライトとして同時に励起されていることがわかった。しかし、励起・検出ともに同じアンテナ形状の場合、指定波数のスピン波のみを効率よく検出できることがわかった。一方、励起と検出のアンテナ形状が異なる場合、メインで励起された波数のスピン波の検出はかなり抑えられ、サテライトとして励起されている成分の中から、検出アンテナで指定した波数のスピン波が優先的に検出されることがわかった。今後、マグノニック結晶で観測されたブリルアンゾーンの折り返しピークの検出に適用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
準周期マグノニック結晶のシミュレーションをまとめることができた。さらにマグノニック結晶のスピン波特性をさらに詳しく調べるための蛇行アンテナ技術をシミュレーションおよび実験ともに確立することができた。蛇行アンテナについて実験とシミュレーションが非常に合うことが確認されたので、今後の研究進展に重要な武器になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
スピン波の準周期マグノニック結晶への応用ができることが分かったので、令和5年度はまず規則マグノニック結晶において解明すべき課題に取り組む。具体的には、溝深さや幅方向への変調、2次元への拡張等、どのような構造がスピン波に影響を与えられるかを調べる。このように、マグノニック結晶の規則性導入に関して、スピン波の強度を保ちながら最もスピン波変調に効果高い構造を確立する。さらに、蛇行アンテナをマグノニック結晶に適用し、ブリルアンゾーンの折り返しピークの特性について調べる予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は半導体不足のため、ワークステーションの価格が高騰しておりコストパフォーマンスが悪いと判断した。このため、計算スピードの増強(GPUの増設)のみ行ったので、次年度使用が生じた。今後本年度の市場動向をみながら、ワークステーションの導入を検討する。
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Research Products
(4 results)