2022 Fiscal Year Research-status Report
アライメントフリーなシリコン光チップとファイバ間の高効率結合デバイス
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22K04248
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤川 知栄美 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70319375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スポットサイズコンバータ / 自己形成光導波路 / 光結合 / 光硬化性樹脂 / シリコン光チップ / シングルモードファイバ / シリコン導波路 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】光配線による光接続(光インターコネクト)技術は,古典的なメタル配線におけるボトルネックとなっている多くの課題を克服する大きな解決策であると期待されている.一つのシリコン基板上に光導波路および電子回路が集積されたシリコン光チップは,高密度および大容量の将来の光配線実現の鍵である.シリコン光チップと光ファイバ間を光結合するための結合デバイスは,実用的な光結合効率,極めて微細でしかも容易なアライメントが要求される.本研究では,スポット径の異なるシリコン導波路と光ファイバ間の効率的な光接続,および簡易に作製可能な光結合用スポットサイズコンバータを提供することを目的としている. 【提案したスポットサイズコンバータの試作および評価】2種類のスポットサイズコンバータを提案,設計,試作し,評価した.①標準シングルモードファイバ端面に自己形成光導波路(Self-Written Waveguide: SWW)技術を用いて作製するテーパピラー型スポットサイズコンバータと②シリコン光チップ端面に作製するスポットサイズエキスパンダである.試作,評価を行ったテーパピラー型スポットサイズコンバータは,標準シングルモードファイバ側から出射する紫外光を用いているためアライメントフリーであることから,従来のHiNAファイバを使用したテーパピラー型スポットサイズコンバータよりも高い結合効率を有することを確認した.また,シリコン光チップ側に,シリコン光チップからの出射光ビームを拡大し,標準シングルモードファイバのスポットサイズに一致させるスポットサイズコンバータを提案した.スポットサイズエキスパンダは,マイクロ光デバイスを用いた光結合における実装上の課題となるアライメント精度を緩和できることをシリコン光チップを用いた光結合実験により示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の研究実施計画では,自己形成導波路(SWW)作製技術を用いて,①ファンイン/ファンアウト光結合のためのオフアクシスでの光結合の試作と評価,および②マルチコアファイバに対するスポットサイズコンバータの試作と評価を予定していた.しかしながら,実験用のファンイン/ファンアウトデバイス付きのマルチコアファイバの入手が困難であったこと,および光結合効率評価用のシリコン光チップの入手が可能になったことから,シリコン光チップとシングルモード光ファイバを光結合するマイクロ光デバイスの試作,評価実験を優先した.その結果,(1)標準シングルモードファイバ側からSWW技術により作製するテーパピラー型スポットサイズコンバータの作製が可能であることを見出し,結合効率の評価を行った.HiNAファイバを使用し作製したテーパピラー型スポットサイズコンバータよりも高い結合効率である-0.28dBを得ることができた.また,(2)シングルモードファイバ側に作製する従来のスポットサイズコンバータ(ダウンコンバータ)よりも光軸に対する垂直方向の軸ずれ許容量を緩和可能なスポットサイズエキスパンダを提案し,試作した.スポットサイズエキスパンダによるシリコン光チップとシングルモードファイバの結合実験において,光軸に対する垂直方向における結合効率が最大値から1dB低下する範囲は,X軸方向:±1.65μm,Y軸方向:±2.4μmであり,ダウンコンバータよりも軸ずれ許容量を緩和できた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)シミュレーションにより,自己形成光導波路(SWW)技術により作製されるテーパピラー型デバイスの最適作製条件を検討する.SWWでは,紫外光が樹脂中を光が伝搬しながら樹脂の屈折率を変化させ光導波路を形成する.使用する紫外光の波長および光硬化性樹脂の種類ごとに,作製されるSWW形状が異なることがわかっている.紫外光の回折による影響と,紫外光が屈折率を変化させながら樹脂中を伝搬することと,実際に作製されるデバイス形状にはどちらがより影響を及ぼすか,評価・検討を行う.実験とシミュレーションを同時並行で進めることにより,いずれの作製パラメータが実際に形成されるデバイスの形状に大きく影響を及ぼすのか,の知見を得て,所望の形状のスポットサイズコンバータを作製する予定である. (2)2022年度に提案し,試作,評価したスポットサイズコンバータのアレイ化を試みる. (a)テーパピラー型スポットサイズコンバータについては,ファイバアレイの端面にテーパピラー型スポットサイズコンバータを作製することを試みる. (b)シリコン光チップ端面に,アレイ化したスポットサイズエキスパンダの作製を試みる.SWW技術を用いて複数チャネルの形状および結合効率の再現性を評価する.フォトマスク転写法による作製も検討する.実際にシリコン光チップあるいはマルチコアファイバとの光結合実験を行い,評価する予定である.
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Causes of Carryover |
【理由】実験用に購入した特注のファイバコードの仕様を一部変更したことにより生じた. 【使用計画】提案デバイスのアレイ化実験に使用するファイバコード購入に使用する予定である.
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