2022 Fiscal Year Research-status Report
宇宙応用を目指したペロブスカイト太陽電池の放射線照射による劣化と回復現象の解明
Project/Area Number |
22K04252
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
宮澤 優 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙探査イノベーションハブ, 研究開発員 (90746942)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 放射線耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペロブスカイト太陽電池(PSC)は、軽量薄膜で放射線耐性が高い太陽電池を低コストで実現できることから、宇宙応用が期待されている。PSCは高い放射線耐性を有することが明らかになっているものの、その理由の詳細は不明である。本研究の目的は、「放射線によってPSCの発電性能の低下を及ぼす欠陥が導入されるのか、導入された欠陥は回復するのか否か」を明らかにすることである。PSCの宇宙応用時に宇宙環境下でのPSCの出力特性を予測するためにも必須である。 本研究では、(1)照射用真空チャンバ内太陽電池特性測定システムの確立(2)室温下におけPSC照射試験の実施(3)照射ステージ温度制御システムの確立(4)温度制御下におけるPSC照射試験の実施 のステップで研究を進めている。 初年度は、(1)と(2)について実施した。以下に詳細を示す。 (1)放射線照射直後の特性を測定するために、照射チャンバの中でPSCに模擬太陽光を照射し、照射直後のIV特性を測定できるシステムを確立した。 (2)(1)で確立したシステムを用いて、PSCに8MeV陽子線を照射して、一定照射量を照射した直後からのIV特性の時間変化を評価した。室温下においては、1×10^14/cm^2という高い放射線量まで短絡電流の低下が見られず、PSCの発電性能の低下を及ぼす欠陥がペロブスカイト結晶に導入されないことを明らかにした。1×10^14/cm^2の照射直後に開放電圧と曲線因子の低下と回復が見られたため、本挙動の詳細は今後明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進捗している。International Photovoltaic Science and Engineering Conference(PVSEC)にて成果を発表。
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Strategy for Future Research Activity |
室温での陽子線照射試験結果から、今後はアニールが起こりにくい低温での放射線照射下の振る舞いに着目して照射試験を実施する方針とする。 照射ステージの低温制御システムの確立を目指し、確立後に低温下での照射試験を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
計画より照射施設への出張回数を減らして実験を遂行でたこと、低温照射試験に必要な物品の一部が年度内調達が間に合わないことがわかり次年度調達に変更したことが理由である。
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