2022 Fiscal Year Research-status Report
ASRと凍害の複合作用を受けるコンクリート構造物の劣化予測と性能照査手法の開発
Project/Area Number |
22K04260
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
黒田 保 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (30263487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コンクリート / アルカリシリカ反応 / 凍害 / 複合劣化 / 圧縮強度 / 割裂引張強度 / 静弾性係数 / ポアソン比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,アルカリシリカ反応(ASR)と凍害の複合劣化を生じたコンクリートの力学特性および塩分浸透特性を明らかにして,ASRと凍害による複合作用を受けるコンクリート構造物の劣化予測手法および性能照査手法を開発することである。令和4年度には凍害とASRそれぞれの単独劣化を生じたコンクリートの力学特性について検討した。 凍害単独劣化については水セメント比(W/C)が45,55,65%のコンクリートに対してJIS A 1148に準じて凍結融解試験を行い,コンクリートの相対動弾性係数が80%,60%,40%となった時点で圧縮強度と静弾性係数を測定した。また,健全なコンクリート(相対動弾性係数100%)に対しても同様に測定を行った。その結果,凍害による劣化の程度が大きくなるほど圧縮強度と静弾性係数は小さくなることが明らかとなった。また,凍害の影響はコンクリートの圧縮強度よりも静弾性係数に対して顕著に表れることを明らかにした。 ASR単独劣化については,W/Cが45,55,65%のコンクリートに対して温度40℃,相対湿度95%の環境下でASRを促進させた後にコンクリートの膨張率が0.05,0.10,0.20,0.30%となった時点で,コンクリートの圧縮強度,割裂引張強度,静弾性係数,ポアソン比(圧縮強度の3分の1の応力での値)の測定を実施した。また,健全なコンクリート(膨張率0%)に対しても同様に各種力学的性質の測定を行った。その結果, ASRによる劣化の程度が大きくなるほど圧縮強度,割裂引張強度および静弾性係数は小さくなることが明らかとなった。また,ASRによる劣化の影響はコンクリートの圧縮強度や引張強度よりも静弾性係数に対して顕著に表れることを明らかにした。一方,0.30%までの膨張率の範囲では,コンクリートのポアソン比はASRの劣化による影響を受けないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,ASRによる劣化が凍害による劣化に与える影響,凍害による劣化がASRによる劣化に与える影響,ASRと凍害の繰返し作用がコンクリートの劣化に与える影響について検討する予定である。また,ASRによる単独劣化,凍害による単独劣化,ASRと凍害による複合劣化の3つのタイプの劣化に対してそれぞれの劣化の程度がコンクリートの力学特性および塩分浸透特性に与える影響について検討する予定である。このように立案した計画のうち,令和4年度にはASRによる単独劣化および凍害による単独劣化の程度がコンクリートの力学特性に与える影響を明らかにした。また,結果が得られるまでに長期間を要する複合劣化に関する実験のうち,ASRによる劣化が凍害による劣化に与える影響を確認するための供試体を令和4年度のうちに作製して実験を開始した。この供試体についてはASRと凍害の複合劣化を生じたコンクリートの力学特性を検討する供試体の一部でもある。これらの令和4年度の研究実施内容を本研究の全体計画に照らし合わせ,「おおむね順調に発展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施するASR,凍害,およびそれらの複合劣化を生じたコンクリートの力学的性質の測定については,促進環境に供試体を保存したとしても劣化の進行がきわめて遅いため,力学的性質の測定を実施するまでにかなりの長期間を要する。令和4年度と同様に令和5年度においても,結果を得るまでに長期間を要するものについては先行して供試体を作製し,研究が計画通りに進むように効率よく実験を遂行する。
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Causes of Carryover |
意図して残したわけではないが,予算を執行する中で89円の残額が生じた。この残額については次年度に使用する計画である。
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