2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of concrete with corrosion inhibition of steel bar and antibacterial using copper slag
Project/Area Number |
22K04265
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
氏家 勲 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90143669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 慶有 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (90725631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 銅スラグ細骨材 / 銅スラグ微粉末 / 抗菌性 / 鉄筋腐食抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は銅スラグ細骨材を使用したコンクリートにおいて,鉄筋腐食が抑制されることを見出しており,銅スラグ細骨材コンクリートにおいて鉄筋腐食が抑制されるメカニズムを明らかにするとともに,銅スラグ微粉末置換コンクリートの鉄筋腐食抑制効果並びに抗菌性能を検討することを目的としている。 銅スラグ微粉末混入コンクリートの抗菌性に関して、供試体を10日間浸漬した活性汚泥を用いて標準寒天培地法で一般細菌の繁殖状況を試験したが、銅スラグ微粉末混入コンクリートで必ずしも一般細菌の繁殖が少なることが確認できなかった。そこで、JISに基づく抗菌加工製品-抗菌性試験方法による試験を行い,抗菌活性度の測定を行ったが、銅スラグ微粉末を混入したコンクリートと樹脂供試体において、抗菌活性度が高いという結果は得られなかった。 一方、銅スラグを用いたコンクリートの鉄筋腐食抑制に関する検討において、コンクリート中の鋼材を保護する性能として、電気泳動法による塩化物イオンの拡散係数、促進試験による中性化速度係数、土木学会規準による水分浸透速度係数、ダブルチャンバー法による透気係数および4プローブ法による比抵抗の測定を行った。銅フラグ微粉末を用いる場合にセメントの内割置換すると銅スラグ微粉末に活性度が無いため、実質の水セメント比が大きくなり、全ての値は無混入のものより悪い結果となった。また、セメントの外割置換の場合はコンクリートが緻密になるため全ての値はよくなったが、これは銅スラグの効果と言うより微粉末混入によるものと考えられる。一方、銅スラグ細骨材を使用したコンクリートに関しては、無混入のコンクリートとほぼ同じ値となった。一方、鉄筋腐食に関する電気化学的測定において、今年度の測定期間内では鉄筋腐食は発生しなかったが、銅スラグ細骨材コンクリートにおいて、酸素透過速度が小さくなることは確認されたので、測定を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定された実験計画の内容は予定通り実施されており、順調に進展している。ただし、銅スラグ微粉末を混入したコンクリートの抗菌性に関して、再現性が低く、抗菌性が無い結果も得られており、今後の実験計画を変更する必要がある。一方、銅スラグ細骨材を使用したコンクリートの鉄筋腐食抑制に関する検討において、コンクリート中の鋼材を保護する性能においては予定通り実験が実施できたが、電気化学的測定において、今年度のうちに鉄筋腐食することを想定していたが、腐食しなった。 次年度以降は上記の想定通りでない結果に関して研究計画を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載したように、本研究はおおむね順調に進展している。ただし、いくつか想定していない結果となったため、そのことに対する研究計画を少し変更する必要がある。 銅スラグ微粉末を混入したコンクリートの抗菌性に関しては、抗菌効果の再現性が無く、JISに基づく試験では抗菌性が低いという結果となっている。銅スラグにおいて銅の精錬技術が改善されているため最近の銅スラグには抗菌性を有する金属である銅の含有量が少なくなっているとの情報もあり、今年度は抗菌試験を繰り返すのではなく、銅スラグに含まれる銅の含有量と抗菌性に必要な銅の量を検討し、条件を満足しているなら抗菌性試験を実施するが、そうでない場合は抗菌性試験は実施しないことも検討する。 銅スラグ細骨材を用いたコンクリートの鉄筋腐食抑制に関しては、昨年度作製した供試体において鉄筋腐食が確認されていないことから、引き続き実験を継続するとともに、より条件を厳しくした供試体を追加作製して新たに実験を行う。また、鉄筋近傍で溶存酸素の供給に関してはコンクリート供試体ではなく銅スラグを用いた溶液中の要素実験を行って、酸素透過速度の低下に関するメカニズムの検討を行う。さらに、コンクリート中の鋼材を保護する性能に関してもややばらついた結果もあったので、再度測定値の確実性を高めるために追加実験を実施する。
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