2023 Fiscal Year Research-status Report
境界型メッシュフリー法を用いた二層構造材料の界面近傍における劣化推定に関する研究
Project/Area Number |
22K04277
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 陽 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60724614)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 基本解近似解法 / 二層構造材料 / 波動 / 推定 / 境界条件 / 欠陥形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,2種類の弾性体によって構成される二層構造材料に対する弾性波動問題を対象に,メッシュフリー型の波動解析手法の開発を行った.開発したメッシュフリー型解析手法は基本解近似解法をもとにしており,対象とする問題の近似解を基本解と平面波の重ね合わせによって表現している.開発手法では,近似解として基本解のみならず平面波を重ね合わせることにより,無限長の境界面による波動の反射,透過,および散乱の影響を,適切な解表現によって取り扱うことができる.この開発手法は二層構造材料の界面剥離による散乱解析に適用され,その有効性が確認された. これに加えて,二層構造材料の界面近傍における劣化推定に関しては,いくつかの基礎的な検討を行った.1つ目の検討として,弾性体-剛体から成る二層構造材料の解析モデルに対する境界条件推定手法を開発した.この推定手法は基本解近似解法に基づいており,弾性体と剛体の界面における境界条件(変位固定,表面力フリー)の推定を散乱波の情報から行う.弾性体-剛体から成る二層構造材料では,弾性体と剛体の接合部分は変位固定,剥離部分は表面力フリーの境界条件となる.そのため,開発手法によって境界条件を推定することで二層構造材料の剥離部分を推定することが可能となる.2つ目の検討として,弾性体内部の欠陥による散乱波の情報から欠陥形状を再構成する手法を開発した.この手法も基本解近似解法に基づいた推定手法であり,現時点では,変位固定の境界条件を有する欠陥のみ取扱い可能である.この手法は,前述の境界条件推定手法と組み合わせることも可能である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,当該年度は,二層構造材料に対する弾性波動問題の散乱解析を実現している.また,劣化推定手法開発の基礎となる境界条件推定手法および欠陥形状再構成手法の開発を実現している.
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果をもとに,2種類の弾性体によって構成される二層構造材料に対する劣化推定の手法を開発する.推定対象とする劣化として,はじめに界面剥離の推定に取り組む.これは,当該年度に開発した境界条件推定手法をもとにして,推定手法を開発する.その後,減肉の推定に取り組む.これは,当該年度に開発した境界条件推定手法と欠陥形状再構成手法を組合せて開発する.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初現地参加を予定していた学会にオンラインで参加したためである.次年度使用額は当該年度分とあわせて,旅費あるいは物品費として使用する予定である.
|