2023 Fiscal Year Research-status Report
浸透により形成されるゆるみの学術的体系化と予防保全策の検討
Project/Area Number |
22K04312
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 真理 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (60749183)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ゆるみ / 内部侵食 / 浸透 / 地滑り / 圧密 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,地盤内の浸透による細粒分流出が形成するゆるみについて,細粒土層と粗粒土層を持つ条件で,長期的な地下水位変動と浸透を模擬した模型実験を実施した.模型実験の結果,細粒土層から粗粒土層に細粒分が流出し,細粒土層内で局所的に粒度分布が変化する傾向が示された.また,地滑りの前兆現象としてのゆるみに着目し,一次元円筒内の土試料に浸透水圧を与えて地滑り前の地下水位上昇によるゆるみを再現した.その結果水圧を与えることで体積の膨張や軽度のボイリングが発生し,排水後も収縮せず荷重や外力を加えなければ不可逆であることが示唆された. 長期浸透を与えた供試体に圧密試験を行う既往の研究に追加実験を行い,内部侵食によるゆるみが圧密沈下に与える影響の詳細を明らかにした.さらにそれらの試験で得られたパラメータを用いた数値解析を行うことで実堤体スケールでのゆるみの圧密沈下への影響を調べた.その結果内部侵食履歴を考慮することで,考慮しない結果よりも大きな圧密沈下量が計算されることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,前年度に引き続き模型実験や1次元浸透実験,浸透と圧密試験・解析によりゆるみを再現し,それぞれの現象でのゆるみ形成状況や,その他詳細を明らかにした.どの試験結果でも,ゆるみが形成される傾向が得られた.しかし今年度から開始した実験が多いため,試行段階であり,公表できるような完全な結果が出なかったものが多かった.そのため,実験計画は前年度から進みつつあるものの,成果の公表まで到達しないものが多く,当初の計画よりもやや遅れている状態となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,現在行っている実験について,条件を変化させて各種項目を測定し,ゆるみの形成状況について体系的にまとめる.本研究では浸透によるゆるみ形成を想定しており,浸透による内部侵食が引き起こすゆるみと浸透水圧によるボイリングや体積変形が引き起こすゆるみに着目し,それぞれについて実験を行い,得られた実験結果から,数値解析やゆるみの形成状況に関する体系化を行うことで,実地盤への適用を検討する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は自作の実験装置や既存の装置を使った研究を中心に進めたため,支出額が当初の予定よりも少なくなった.また,研究室の構成人数が少なく出張も限られたため,旅費もほとんどかからなかった.今年度は必要に応じて新規計測機器や機材を購入して,また研究活動のための調査や出張のために研究資金を活用する予定である.
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