• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

Real-time Artificial Intelligence (AI) Prediction of Seepage Failure and Evacuation Assistance by Structural Health Monitoring of River Levees

Research Project

Project/Area Number 22K04313
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

竹下 祐二  岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (90188178)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords河川堤防 / 浸透流 / 現地計測 / 降雨浸透 / 土中水分量 / 深層学習 / スパースモデリング / 原位置透水試験
Outline of Annual Research Achievements

河川堤防の構造ヘルスモニタリングを実施することにより,従来の維持管理技術と防災技術を対症療法型から予防保全型への転換する技術提案の実用化に結び付け,堤防災害の減災への貢献を目的とする。令和4年度に実施した研究実績としては, 2箇所の一級河川堤防において,河川水位や基盤透水層内の水位変動,そして,のり面表層領域での降雨浸透による土中水分量の動態および傾斜変動に対する長期間の堤防ヘルスモニタリングを実施したことにある。
これらの計測事実を用いることで,洪水時に発生する堤内基盤水位の変動を準リアルタイムで予測する回帰モデルとして,深層学習による非線形回帰モデルとスパースモデリングによる線形回帰モデルを構築した。それぞれのモデルには,過去の洪水時や日常的な水位変動時に対象堤防において計測された堤内基盤水位と河川水位変動の関係を学習させた.学習水位としては,現時刻から180分前までの7時刻(180分前,150分前,120分前,90分前,60分前,30分前,現時刻)における河川水位と基盤水位の計14の水位計測値を用いた。得られた成果を以下に示す。
1)非線形回帰モデルは予測対象洪水事例によって感度解析により決定されるモデル構造が異なるため,水位予測精度が変化することが懸念される.一方,線形回帰モデルは構造が単純でその構築が容易であるため,洪水時の堤防基盤水位予測モデルとしての実用性を有していると考えられる。
2)回帰モデルでは,学習した水位変動範囲外の外挿条件での予測精度が担保されないため,目的変数に用いる水位データの扱いに工夫が必要である.そのため,河川堤防における基盤水位の変動要因として,計測すべき物理量を適切に選定した計測システムの構築と計測の継続による事例の蓄積が重要であると思われる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,河川堤防の構造ヘルスモニタリングを実施することにより,従来の維持管理技術と防災技術を対症療法型から予防保全型への転換する技術提案の実用化に結び付け,堤防災害の減災に貢献することである。そのためには,対象とする実河川堤防における浸透挙動の連続計測と計測事実に基づく考察は重要であると考えられる。そこで,当該年度(第1年度)では,2箇所の一級河川堤防の設置した浸透挙動計測システムにより,河川水位と堤防内水位および堤体のり面内への降雨浸透に起因する土中水分動態や傾斜変動の連続計測を継続して実施できており,それらを用いて,以下の研究が進捗している。
1)洪水時に発生する堤防内の浸透挙動を迅速に予測する手法として深層学習を用いた非線形回帰モデルによる堤内基盤水位の予測方法を提案した。洪水時の堤内基盤水位予測モデルにおいて,未学習の洪水時に対する予測精度の担保と解析負荷の低減を目的として,スパースモデリング手法を用いた線形回帰モデルを作成し,その有用性を深層学習モデルとの比較により検討した。
2)堤防のり面表層の現場飽和透水係数を簡便かつ迅速に測定する原位置試験方法として,プレッシャーインフィルトロメータ法(JGS 1319-2017)をベースにした変水位型原位置透水試験法を開発し,その有用性と妥当性の検討を行った。

Strategy for Future Research Activity

通常時における堤防の安全性照査方法の改善と出水時におけるリードタイムを確保した避難指示発令に対する貢献を行うために,河川堤防の構造ヘルスモニタリングによる浸透破壊のリアルタイムAI予測と避難支援に対する今後の研究の推進方策として,以下の課題に取り組む予定である。
(1)堤防のヘルスモニタリングでは,正常に供用されている時点での河川堤防の動態を事前に把握しておき,常時監視を継続する過程において異常を感知する。そのために,低廉で頑丈なセンサーや通信システムを実装した遠隔モニタリング方法を用いて,対象堤防の代表断面における河川水位や降雨量,堤体内の水位や土中水分動態,裏のり面での傾斜2軸変位などを原位置で常時かつ連続的な計測を行う。これらの堤体内の浸透・変状動態に関する計測データを蓄積して,それらの相関におけるタイムラクグや非線形性などの地盤工学的な特徴を探る。
(2)堤防のヘルスモニタリングによって蓄積された堤防内の浸透挙動や変位などの計測値を認識・学習させて,計測事例を再現できる堤防の地盤工学的なAIモデルを作成する。そのために,過去の洪水時や平常時に計測された堤内基盤水位と河川水位変動の関係に深層学習とスパースモデリングを適用し,新たな洪水時に生じる堤内基盤水位の変動を準リアルタイムで予測する回帰モデルの構築を試みる。ここで,深層学習モデルは関数近似手法であり,入力値と出力値の因果関係が難解であるが,正解値に合わせる最適化を行うため,学習した水位変動に対する内挿的な水位予測が期待される非線形回帰モデルである。一方,スパースモデリングを用いた線形回帰モデルでは,予測水位が一次式で表現されるために入出力水位の因果関係が明確であり,学習した水位範囲外の外挿領域においても,線形外挿による水位予測が期待される。

Causes of Carryover

次年度使用が生じた理由は,当該年度に構築した浸透挙動の計測システムを遠隔モニタリングシステムに改良する作業において,その改良方法の検討と新規センサーの選定に時間を要したため,予定していた物品費の執行が当該年度内に実施できなかったことによる。 翌年度分として請求した助成金と合わせ,新たな遠隔モニタリングシステムを構築し,堤防内の浸透挙動のリアルタイムモニタリングと迅速な計測情報発信のためのAIモデルを活用したシステム構築を図る予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 深層学習を用いた洪水時における河川堤防内水位の変動予測2022

    • Author(s)
      竹下祐二・山本純也
    • Journal Title

      地盤工学会誌

      Volume: 70 Pages: 17-20

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] スパースモデリングを用いた洪水時における河川堤防基盤水位の変動を表す回帰モデル作成に関する考察2022

    • Author(s)
      竹下祐二・川田勇希
    • Organizer
      第10回河川堤防技術シンポジウム
  • [Presentation] 簡易型変水位透水試験による現場飽和透水係数の原位置測定方法に関する考察2022

    • Author(s)
      竹下祐二・岡本優大・松尾菜歩
    • Organizer
      第10回河川堤防技術シンポジウム

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi