2023 Fiscal Year Research-status Report
直接基礎を対象とした汎用的かつ簡易的な液状化対策の開発
Project/Area Number |
22K04316
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
荒木 裕行 香川大学, 創造工学部, 准教授 (30780837)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 液状化 / 直接基礎 / 蛇籠 / 地震時挙動 / ジオテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,地盤に蛇籠型構造体を埋設することで直接基礎の液状化被害を軽減する対策手法の確立に向けて,模型実験を通じて検討を行うものである.主として実施している模型実験は,液状化し易い砂質地盤の地表面に直接基礎および提案対策の縮尺模型を設置し,加振によって砂質地盤を液状化させた時の基礎模型および地盤の挙動を計測する振動台実験である.蛇籠型構造体は直方体の籠の中に礫材を詰めたものであり,蛇籠型構造体による荷重の分散効果や基礎直下地盤の流動抑制効果によって地盤の液状化に伴う基礎の沈下や傾斜を抑制できることが既に明らかなっている.また,基礎の荷重レベルを段階的に変化させる模型実験を実施することで,基礎荷重と沈下の関係についても得られている.以上の知見は主に新設のベタ基礎を想定した荷重条件下で取得したものであるが,小規模構造物の基礎には一般的に布基礎が多用されているほか,新設のみならず既設構造物への適用性についても検討の余地がある. そこで令和5年度には基礎形式の違いに着目した模型実験を実施し,基礎形式が対策効果に与える影響について検討を行った.振動台模型実験で用いた基礎模型はベタ基礎と布基礎の2次元断面を模したものであり,両基礎模型は質量が等しくなるように作製した.既に取得している基礎荷重と沈下の関係,および実際の小規模建築物の重量を考慮して,基礎底部の地盤に作用する投影面積当たりの鉛直応力を2段階に変化させ,蛇籠型構造体の有無による基礎の沈下量について検討した.模型実験の結果,既設を想定した布基礎・ベタ基礎の側部に蛇籠型構造体を埋設して基礎と連結することで基礎の沈下を抑制できること,既設の布基礎に蛇籠構造体を設置すると沈下量が無対策のベタ基礎と同程度となること,沈下抑制効果は投影面積当たりの鉛直応力が増加しても発揮されることが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液状化した地盤を再現する振動台模型実験を実施することで,令和4年度には直接基礎の荷重レベルや重心位置,蛇籠型構造体の有無による沈下・傾斜に関する基礎データを取得し,本手法の対策メカニズムを明らかにした.また,令和5年度には異なる基礎形式を模擬した基礎模型を用いることで,基礎形式が異なる条件下での基礎の沈下抑制効果について比較検討した.実務的には多様な基礎・荷重条件等に対応する必要があることを考慮すれば,本手法の実現性を高める上で重要な知見を得ることができたといえる.過去2カ年で実施した実験により,本対策の適用条件と対策効果をとりまとめる上で主要なデータが揃いつつあることから,概ね順調に実施できていると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においても引き続き地盤の液状化を再現する振動台模型実験を実施する.既に,基礎に作用する荷重レベルや基礎形式の違いに伴う荷重条件の違いが対策効果に与える影響については基礎的なデータが取得できていることから,今後は主に蛇籠型構造体の条件に着目したデータの取得を予定している.蛇籠型構造体の寸法や配置パターンをパラメータとした実験ケースを設定することで,本対策手法の適用条件と対策効果のとりまとめにつなげたい. 得られたデータは,基礎の荷重条件および蛇籠型構造体の条件と沈下・傾斜の関係として整理し,速やかに学会および論文集等で発表を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
振動台模型実験の実施に係る経費を抑えることができたこと,オンライン会議を活用して打合せを行うことで出張費を抑えることができたこと,投稿中の論文掲載料が次年度に計上されることになったことで,次年度使用額が生じた.当初想定していたよりも多くの実験ケースを遂行する見込みであるため実験消耗品等の購入に充てるほか,次年度予定している学会出張等の旅費に充てる予定である.また,論文投稿料については費用が確定した後,速やかに執行する予定である.
|
Research Products
(2 results)