2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Climate Change-Responsive Surface Failure Risk Map by Integration of Vegetation and Geotechnical Information
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22K04318
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 全太郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (70735985)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表層崩壊 / 植生 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度は,気候変動対応型表層崩壊リスクマップの構築を目的に,機械学習を用いた土砂災害警戒基準線 (CL線) の推定を行った.現在運用されている土砂災害警戒情報は,過去の斜面災害とその時の降雨情報のみをもとに発令基準が定められており,地形や地質,植生等に関する情報が考慮されていないという問題点があるため,標高・傾斜・地質などの地理的情報と,過去に降った降雨の情報,植生の有無といった計85種類の情報を説明変数として,機械学習により「60分間積算雨量」および「土壌雨量指数」の推定を行った.機械学習のアルゴリズムには,ランダムフォレスト (以下, RF) , XGBoostおよび LightGBMを用いて,各アルゴリズムの精度を比較した.その結果,60分間積算雨量の推定について,次のことが明らかとなった.1) 上記の3つの手法の中では,XGBoostを用いると検証データに対する決定係数が最も大きくなり,その際の説明変数は20個であった.2) XGBoostで抽出された説明変数の中には,「植生群」も含まれ,植生の有無や種類が現行の60分間積算雨量の選定に影響を与えていることが明らかとなった. また,土壌雨量指数について,次のことが明らかとなった.1) 上記3つの手法の中では,LightGBM を用いると検証データに対する決定係数が最も大きくなり,その際の説明変数は50個であった.2) XGBoostで抽出された説明変数の中には,「植生群」も含まれ,植生の有無や種類が現行の土壌雨量指数の選定に影響を与えていることが明らかとなった. これらの成果を2022年度には査読付き論文2編,その他論文2編にまとめた.また,2件の学会 (うち国際会議1件) で発表した.また,2023年度はすでに3件の国内学会・シンポジウム発表,1件の国際学会発表が決定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度は機械学習アルゴリズムの構築,地理情報,降雨情報および植生情報を入手し,数種の学習器においてその精度を検証することができ,植生群が重要なパラメータであることが明らかとなった.R4年度中に入手予定であった衛星写真と,植生に関するNDVI値はコロナ禍の影響で入手が遅れたが,進捗状況はおおむね順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は衛星写真から得られる情報と,植生の種類や活性度を推定できるNDVI値,現存植生図を構築したモデルに導入し,モデルの精度の向上を図る.加えて,得られたモデルに将来想定される降雨量をインプットし,出力される「60分間積算雨量」および「土壌雨量指数」と,現行のCL線で設定されている値を比較し,設定値が適切かどうかを判断する.
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Causes of Carryover |
当該年度中に解析で用いるための衛星画像およびNDVI値を購入予定であったが,コロナ禍の影響で測量会社の衛星画像の取得とNDVI値の計算に時間を要し,年度内の購入の断念を余儀なくされた.購入の準備は大方進んでいるため,今年度前半に上記の衛星画像およびNDVI値を購入する予定である.
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Research Products
(14 results)